幻想獣と自由な少女③
前回のあらすじ!
闇が辺りを包み、何かがコウに襲いかかった瞬間、『タダノ・フリーダム・リン』の能力『DDD』が発動し、再び世界を移動した二人。命からがら逃げる形となってしまったコウは、屈辱を晴らすべく復讐に燃える。それを止めようと立ち塞がるオイナリサマ。しかし、彼は心配する彼女をも葬り去ろうと──
「どっから突っ込めばいいんだ!?」
「突っ込むとか…いやらしい…///」
「うるさいよ!そんなキャラじゃないでしょ!?」
「…相変わらずよくわからないことを言いますね、貴女は…」
あらすじは大体嘘です。正しいのは闇と世界移動だけ。あの
そんなことなどいざ知らず、リンは帰ってきたかと思えば、キュウビキツネ擬きの獣耳と尻尾をこれでもかとモフモフしている。しかもその相手は、彼女にとっては久しい男の子である
「あら?そういえば貴方、あの時いましたよね?」
「あの時?…あーそういえば…」
この世界へ招かれた時、リンの隣にオイナリサマは確かにいた。その後リンとコウ達の会話には混ざらなかったが、遠目から見てはいたようだ
「貴方は何のフレンズですか?この前と少し違う気がしますが…」
「この子はね、私のポケ○ンなんだ」
『
身長:フレンズよりは高い
体重:平均より若干ゃ重い
特性:わからん
性格:さみしがりや(推定)
個体値:不明
種族値:不明
努力値:貯まってる
タイプ:おそらくノーマル(いろんな意味で)
正体不明な 力を 持った ○ケモン。野生解放で 更に 未知なる 能力を 発揮するぞ!
※バッジを持っていても言うことを聞くかは気分次第
「ほらボールに入って、どうぞ」
「入らないし入れないから!しかもそれ違うじゃないか!」
リンは丸い何かをポケットから取り出したが、それはガチャガチャのカプセルだった。似て非なるそれを『はたきおとす』コウ。ポケモ○の技要素をここで出していくゥ!
「リン…真面目に答えないなら、あの子を連れてきますよ?」
「ちょっ、そんな事言わないでよ~?私達の仲じゃないか~」
まさかのチクり作戦。とても神獣がする事とは思えない。しかしこの場においては非常に有効な手段であり、珍しくリンが狼狽えていた
あの子とは…まぁ、リンの弱みであり、とても大切なヒトである。心配かけているし今回も黙ってここにいるので少し負い目があるのだ。特徴?帽子を被り、鞄を背負った女の子だよ。いったい誰なんだろう?(すっとぼけ)
違う世界でも流石オイナリサマ、いじられようとオーラは本物であり、この場に無駄な緊張を走らせていた
「あの~…良かったら食べませんか…?」
そこに空気だった(滅茶苦茶失礼)第二の主人公、
「あっ、ありがとう。ちょうどお腹──」
殺伐としたこの空間に絶品和食が!!
\スパイス達による辛味のハーモニー/
「──なにこれぇ!?!?!?」
「頑張ったらこうなりましたぁ……」
テーブルに置いてあった本のページには、『ドリアで胃袋を掴め!クックメーカー!』と書かれている。一体何をどうしたらこんな矛盾の塊が出来上がるのか、それは珍しいお客さんが来たのでいつも以上に張り切りすぎた結果である。最近こんな事なかったのにね
デザートには
出されたものはもちろん残さず食べる。仲良く四人で分け平らげた。巻き込まれる形となったオイナリサマが、文句も何も言わなかったのは流石としか言いようがなかった
*
「何格好つけているんですか、閉じ込めているんですから頼みましたよ?」
「オイナリちゃ~ん?ちょっとそれはないんじゃな~い?折角の見せ場なんだよ?」
──
怪しげな気配を感じたオイナリサマが先手をうち結界を張っていたようだ。恐ろしく速い結界、俺だったら見逃しちゃうね。出来る神様はやっぱ違うよ
「それにしても…異世界から来た…ですか」
「コウといいます。よろしくお願いします」
「あら、良くできた子ですね。飴をあげましょう」
「そんな小さい子にあげるようなもの受け取らないよ、ねぇ?」
「ありがとうございます頂きます」ヒョイパクッ
「受け取るんだ」
まるで近所のおばあちゃんと幼稚園児のようなやり取りである。実際神と人なのでそれくらいの歳が離れていてもおかしくはない。オイナリサマに新たな属性がプラスされた。誰得ですか?
因みに飴はいなり味。どこにあるんだそんなの
「そうだ、お弁当でも持っていこう。アノンちゃん、いなり寿司3人前お願いね」
「かしこまりました!」
「あっ、なら俺も手伝うよ」
調理場へ戻るアノンとついていくコウ。それを見つめるオイナリサマは、またまた真剣な表情でリンに問いかける
「…で、彼は何者なんですか?」
「当ててみて。景品あげるから」
「(無言の立ち去り)」
「分かった分かった、答えるから」
「…はぁ。全く」
肩…ではなく尻尾を掴んで引き留める。優しくしたからまだ良いものの、いきなり尻尾を掴むのはやめようね!
「とは言ったものの、私も分かんないんだよね」
「何か聞いているのではないのですか?」
「何も。聞いてもはぐらかされるんだよね」
それはお互い様…という突っ込みは無しでお願いします。話す意味は特にない、というのが双方の考えだ
「だからまた試すよ。今度は上手くいくと思いたいね」
「今度は?」
「何でもないよ。二人が戻ってくるまで借りるね~」
尻尾に顔を埋めながら話すリンに対し、オイナリサマはため息をつくしかなかった
─
一方、調理場では
とってもおいしい、グルメレシピを教えてあげます♪
お腹も空いたし、ささっと取りかかりましょう♪
~ とってもおいしい ぐるめ "れしぴ" ~
歌う人:アノン (コウ) 作詞作曲:???
1:食材を先ずはカットします♪
2:調理道具片付けておきます♪
3:そしたら全部鍋に入れて♪
4:出来上がったものが、こちらです♪
『ダチョウ風味の熱々おでん ~氷菓子を添えて~』
調理過程?カットだよそんなの(料理だけに)
食べると誰でも面白いリアクションが取れると言われている伝説の料理。熱いとはいうが猫舌の子が少し辛いくらいの物だ。そこをすかさず冷やす甘めの氷菓子。まさに完璧な料理だ…!
「これはお客さんに食べさせてあげてね?お弁当には向かないから」
「そうですか…。じゃあこれ、いなり寿司です」
2番を歌う間もなく目当てのものを作ったので、ここで二人の料理はおしまい。ぎゅうぎゅうに詰めたいなり弁当の完成である。キツネ歓喜のお弁当、お一つ500ジャパリコイン!安い!(安いのか?)
「ありがとうございます、手伝っていただいて。手際いいんですね!」
「いやいや、君の効率の良さはいい勉強になったよ。こっちこそありがとう」
料理を通じてすっかり打ち解けた二人。ここまで一緒に来たリンより好感度が高く見えるが気にしてはいけないし言ってはいけない。本人には言うなよ!?絶対に言うなよ!?
【解説フェイズ】
アノンは
(しかし…料理に使っていた剣(?)、不思議な力を感じたけど…)
アノンが使っていたのは、神秘的な力を発する剣。そんなものを包丁代わりに使って大丈夫なのか、という疑問が浮かんだ
(気のせいかな)
が、手捌きを観察し、自分のものにしてやる、と意気込んでいた為それは直ぐに消えた
コウの真剣な表情を見て、その瞳はまるで親の様だったと、後にアノンは語っている
─
「お待たせしまし…大丈夫ですか?」
「何とか…」
「来たね。じゃあ行こっか」
疲れきったオイナリサマと艶々してるリン。きっと壮絶な何かがあったに違いない。そう思ったコウは何も触れなかった
「またのご来店、お待ちしています!」
アノンは遊園地のお店に残った。危ないことに首は突っ込まない。生きる上でとても大切なことである。こんな主人公で大丈夫なのだろうか?という疑問があるだろう。でもこの子最終回でセリフなかったからここで出番終わっても大丈夫(メタ)(ネタバレ)(ごめんなさい)
ヒト(?)、ヒト(獣)、神獣、というバランスが取れていないようで取れてそうなパーティー編成で遊園地を練り歩く。一人だけで何とかなりそうなのは気にしない
「キュウビキツネの気配を感じたのですが、貴方もそうなのですか?」
「それが、俺もよく分かっていないんです」
嘘 で あ る 。
この男、ひたすら保身に走っている。リンの嘘は当然のごとくバレてしまったので澄ました顔でさらりと嘘をつく。手慣れたものでこちらはバレていない
「でも図書館に行かなくていいのですか?何か分かるかもしれませんよ?」
「大丈夫です。優先順位はこっちの方が高いですから」
「…巻き込んでしまったのに、ありがとうございます。終わったら一緒に行きましょう」
「はい!」
とてつもない良い返事と笑顔にオイナリサマは感動した。フレンズのような純粋なその姿に、何故か懐かしさが込み上げてきて目頭を押さえている。こんなことでも涙脆くなっているのは歳を取ったしょうk(パーンッ!
…不適切な言動をしてしまいました。失礼いたしました
そんな姿を横目で見ているコウは、彼女を心配──
(…ふぅ。何とか誤魔化せたな)
──するはずない。さっさと元凶を倒して帰ってしまえばそれで済むし、行っても分からないので態々図書館に行く必要はない。決して説明が面倒という訳ではない
「でも良かったね?君は今両手に花なんだから」
「ソウダネ、ヤッタネ」
「ちぇーっ、もうちょっと嬉しがってもいいんじゃない?」
「嬉しがってほしいの?」
「嬉しがってくれると女の子も嬉しいんだぞ?」
「それはそれで大変になりそうな予感…」
二人の女の子、というワードに何故か不安がよぎったコウ。これから苦労するのかもしれない未来を感じたのかもしれない
「まぁいいや。速くしないと置いてくよー」
再びスタタターっと先を行くリン。それを見て半ば呆れているコウだが、この短期間で仲はメキメキと良くなったのか優しい目で彼女を見つめている。でもアノンの方が(ry
「ホント…自由ですね、あの人」
「…今は、そうですね」
オイナリサマの呟きに、コウの獣耳が反応する。何か遠い過去を見ているような言い方だった
「…オイナリサマ、彼女は一体何者なんですか?」
「私から言う事ではないとは思いますが…そうですね、この本をどうぞ」
「むっ…?どれどれ…」ペラッ
JapariTuber人気投票結果発表!たくさんの投票本当にありがとう!
1位:リン 8901票「みんなありがとう」
2位:リン 4649票「フン…」
3位:リン 2525票「神に感謝」
4位:リン 398票 「くっリンに負けた…」
5位:リン 193票 「順当な順位ですね」
パシィンッ!ゴソゴソ…
「これをどうぞ」スッ…
「えっ?今のh」
「 こ れ を ど う ぞ 」ズイッ
オイナリサマが取り出したのは一冊の本。著者はタイリクオオカミとなっている
間違って出した本は即行でポケットに入れました。それに対して言及してはいけないとコウは悟った
本を眺め、読み進めていく。書いてあったのは、一人の少女の物語
誰よりも強いその少女は、パークの危機の度に生まれ、解決の為に動く守り神
自分自身がパークの驚異にならないように、自分をも犠牲にし、危機と共に消える人生
それはまるで、死ぬ為に生まれる様なものだ
これが運命だというのだろうか
これを自由と呼べるのだろうか
これは、多くを持って生まれ、より多くを求めた少女の物語
「…守り神に、パークの危機」
「そう、幾度となく生まれ、パークを守り、そして散っていった。それが彼女です」
だが転機は訪れる。一つの出会いが彼女を変える
その子達との旅の中で、やりたい事を、大事なものを見つけた
使命を捨てていれば生きれたのに、大切なものを守る為に古の巨獣と戦い、大切なヒトに希望を託し、そして散っていった
一度は散ったものの、彼女は再びそのフレンズ達に会い、今も一緒にいる
だが、この先ずっと一緒にいられるかは分からない
だからこそ、後悔のないように、少女は今を大切に、自由に過ごすのだ
「確かに、やりたい放題やってはいます。ですが彼女は、パークを、フレンズを大切に想ってくれているのです」
そう言ってリンを見る彼女の顔は、穏やかで優しかった。それを見てコウもつい微笑む
「…オイナリサマ、何だかんだで彼女のこと好きなんですね」
「べ、別にそういうわけじゃないですよ!」
ツンデレ属性も追加された。嫌がりながらも頼みは聞くので間違ってはいない
リンが戻ってきて大きな声を出した理由を聞いてくる。誤魔化すことに必死な姿に、コウは笑い、リンは尻尾をモフるのだった
*
「結局、君は何のフレンズなんだろう?」モフリモフリ
「だから触ってても答えなんて出ないから。ちょっと触りすぎじゃない?」
コウの後ろにピッタリつき、モフりながら歩くリン。しかし触る以外にも目的があり、オイナリサマはそれに気づいた
「…貴女、コウの『けものプラズム』を弄れないのですね?」
「やっぱり分かった?ずっと試してるんだけど出来ないんだよね」
「えっ?どういうこと?」
そう、リンは他人のけものプラズムに干渉することが出来る能力がある。このキツネ神は常日頃からモフられ、その度に耳と尻尾を消していたのだが、何度繰り返してもしてくる為
バイクでの移動中も試していた。意味深な呟きの正体はこれである。そして、今も試しているのだが、出ているものは消えず先日会った時に見た犬耳が出てこない。それが逆に好奇心をくすぐる結果となりモフられまくっていた
「私でも操れないサンドスター。これは大発見で新発見!ぜひうちのゼミに!」
「入らないからね?(そもそもあるのか?)」
「それは置いといて下さい。…いましたよ」
視線の先にいたのは、コウとリンが出会った女の子のような何か。ドス黒いオーラを放ち、三人に背を向けている
それは、今回起こりうるパークの危機の元
今こそ、決着を付ける時
次回予告!
やめて!パークの危機の特殊能力で、コウちゃんのけものプラズムを焼き払われたら、同じキツネの特徴を持つオイナリちゃんの
お願い、死なないでコウちゃん!君が今ここで倒れたら、(こっちの)オイナリちゃんや(あっちの)オイナリちゃんとの約束はどうなっちゃうの?サンドスターはまだ残ってる。ここを耐えれば、無事に帰れるんだから!
次回、「城之内死す」。デュエルスタンバイ!
結局死ぬのは城之内──!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます