行間 とある研究者の日記
※遊園地でのコウとジャイアントペンギン
「そうだ少年、ロッジで何かいいもの見つけたか?」
「ん~…そうですね、こんなのがありました」
「どれどれ? …ってなんだ?日記じゃないか。こんなの持ってきたのか?」
「それなんですけど…」
○○月○○日
今日から念願のジャパリパーク職員だ。今日から記念して日記を書いていこう。隣の席の女性から声をかけられた。気さくな人が隣になってよかった。これなら楽しく仕事が出来そうだ
○○月×○日
デスクワークだけではなく、ロードワークもやらなければいけないとは。実験もあるしなかなか忙しい。今日行ったのはホートクチホー。トリのアニマルガールが沢山飛んでいた。私もあんな風に飛んでみたいなぁ
×月○日
サンドスターには保存の力がある。賞味期限が数ヶ月前のお菓子でさえ問題なく食べることが出来た。それはいいのだが私を実験台にしないでほしい。笑った顔が可愛くてつい許してしまった。ずるい人だ
□月○▲日
なんと絶滅種のアニマルガールが確認された。ジャイアントペンギン、ダイアウルフだ。彼女達は他の子達と比べても知識が多く力も強かった。癖が強いがやはり友好的で優しい。折角新たな生を受けたんだ。楽しく過ごしてほしいものだ
▲月○日
カコさんという人が副所長になった。なんでも前から絶滅種の研究を率先してやっていたらしく、私もそれを担当することになった。美人で仕事が出来そうだな、と見ていたら彼女がからかってきた。別にそんなつもりはないぞ?と伝えると安心したような顔をしていた。なぜだ?
▲○月×日
絶滅種のアニマルガールは日に日に増えていった。オオウミガラス、リョコウバト、オーロックス…。人のせいで絶滅してしまった子達に、いったいどんな言葉をかけたらいいのだろうか…
▲○月□○日
絶滅種の子達が私達の研究室を覗きに来た。『貴方達のおかげで私達はここにいる』とお礼を言われ、涙が溢れてしまった。他の職員も「ありがとう」「ごめんね」と呟いていた。私、頑張るよ。平和なパークにしてみせるからね
△月○▲日
新しいアニマルガールが確認されたらしい。何でも想像上のけもの…ヤタガラスだとか。サンドスターとやらはつくづく私達の想像を越えてくる。研究項目が更に増えてしまった
■■月□□日
研究の担当が変わり、絶滅種から伝説種へ。上からのご指名だ。私は期待されていたらしい。他にやりたいやつはいるか、という質問に彼女も手をあげた。正直知っている人がいると心強い。今度飯でも奢ってやろう
■■月○○日
伝説のけものについての話は彼女とは凄く気があった。特に北欧神話についてはお互いに止まらなかった。食事の時間が過ぎてしまい仕事に遅刻しそうになってしまった。また今度ゆっくり語り合いたいものだ
○▲月□日
駄目だ、さっぱりわからん…。絶滅種は化石に反応した、で済んでもいいが(残っていない子もアニマルガール化したが)、こればっかりは本当に謎だ。何かトリガーでもあるのか?
▲月□日
外回りをしていたら、偶然にもアニマルガール化する所が見れた。生まれたのはなんと三人。彼女達は “カマイタチ” と名乗っていた。話をしたかったが、風を吹き上げ何処かへ行ってしまった。他の伝説種もなかなか会えないからチャンスはものにしたいものだ
×月×日
新人パークガイドとして就任した子と会った。名前はミライ。カコ副所長と知り合いらしい。とてつもない動物の知識と愛に感動すると同時に、その様子に引いた。パークを廻るということで連絡が取れるようにした。何かあったら惜しまず協力しよう
×月▲■日
どうやら伝説のけものは人の想いや情報に反応してアニマルガール化する、という説が濃厚だ。だがどれだけ想えばいいのだろうか。今度彼女と願ってみてもいいかもしれない
「…私が生まれたときにいた研究員か。随分昔のだな」
「この日記、途中で破れているんですよね。カコさんっていう人が気になって、図書館に続きがあるんじゃないかって」
「へぇ~…まさしく、
「…純粋にどんな人か知りたいだけです」
「そういうことにしといてやろう。少年、この日記借りるぞ。図書館で調べといてやる」
「教えてくれないんですか?」
「その辺私もあんまり覚えていないんだ。私も気になるしサービスしてやろう」
「ではお願いします。俺も後で行きますので。とりあえず、皆の所に戻りましょうか」
「まだ聞きたいことあるからもう少ししたらなぁ~」
「えぇ…」
(…覚えていないのは半分嘘だ。しかしこの日付…研究員…)
(…まさか、な…)
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