第991話 戦乱の世の終わり

「終わったのか?」




織田信長は黄金に輝く雪の上をザクザクザクと雪をしっかりと確かめるように裸足で俺に近づいてきた。




「この城の五芒星の力を使って戦国という乱世に生まれてしまった人々の憎悪の塊である妖魔を完全に天界、黄泉の国に送りました。あとは神々が裁くでしょう」




「長かった戦いだった・・・・・・」




織田信長の尾張から続いた戦乱の戦いは終わりを迎えた。




「終わったのですか?」




茶々も黄金に輝く雪に降り立つと、近づいてきて呟いた。




「終わったね。やっと終わったよ。俺がこの時代、この世界線に呼ばれた意味が決着したかな」




「・・・・・・そうですか、終わりましたか。ですが、真琴様のこの時代線の役割はこれからも大切な物。気など抜かずに」




茶々がどことなく心配そうな目を向けていた。




「はははははっ、別に消えたり、帰るためになにかをしようとは考えていないから。俺はこのままこの時代を生き抜き、再び憎悪の塊が出来ないか監視し続けないとならないからね」




「そうです、あの『うつろ船』なる物を使ってなにか考えているようですけど、帰るなど私は許しませんからね」




佳代ちゃんが乗ってきたタイムマシーン・アマテラスの事を心配しているのだろう。


直すつもりもないし、活用法は別に考えている。




「しかし、美しい雪」




「あぁ、本当に美しい雪だ。茶々、茶を点てよ。この黄金の雪景色を見て茶を飲みたい」




織田信長がそう言うと、すぐに茶々はお茶の支度をした。




各、祭殿にいたお初やお江や息子娘達も集まると、溶け消えゆく黄金の雪に驚きながら、お茶に舌鼓を打っている俺たちを見て安堵のため息を漏らしていた。




「くぁ~茶々、美味いよ、お茶」




「ふふふふふっ、やっとお茶で心の底から言う美味いが聞けましたね・・・・・・お疲れ様でした」




茶々はニンマリと喜び、織田信長も




「うむ、美味い」




久々に見る曜変天目茶碗を両手でしっかりと持ち、中の星空と、空に輝いている星空を見比べて、




「ぬははははははっ、これほど美しい景色、初めてだわい」




大声で笑っていた。

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