第952話 織田信長とナスカの地上絵

「常陸が物珍しい物と言うと乾いた地ばかりのような気がするが気のせいか?」


「ん~たまたまですかね?俺が好きな古代遺跡が乾燥地に多くあるというだけで」


エジプトに死海、それとオーストラリア大陸アボリジニの聖地など乾燥した地ばかり行っている織田信長は言う。


アスティカのピラミッドとかなら森林の中なのだが。


ナスカの保護区に須佐の案内で入る、石ばかりが見える広い乾燥地帯。


「父上、熱気球の準備をいたしますので、その間に櫓からご覧下されば」


須佐は熱気球の準備をすると言う。


前回建てた簡易的な櫓は、しっかりとした建物として建て直されていた。


高さ、40メートル近くまでありそうだ。


「ふぅ、ふぅ、なかなか上がるのが一苦労だの」


元気なおじいちゃん織田信長は歳を感じさせず、登っていた。


「ね~真琴君、船からヘリコプター呼んだ方が良くない?」


「あ~須佐が熱気球を見せたいようだから、ヘリコプターはその後で良いかな?ほら、あれ見せちゃうと・・・・・・」


「あっ、うん、オーバーテクノロジーを先に見せちゃうとガッカリさせちゃいそうだもんね」


ヘリコプターや飛行機、佳代ちゃんがいなければ、まず完成しなかっただろう。


俺の知識で空を飛ぶ乗り物と言えば熱気球が限界だったはずだ。


その知識を一生懸命具現化した須佐に見せてしまうと、間違いなく苦労が落胆に変わるだろう。


まずは須佐を褒めてからでないと。


「ぬぉぉぉぉ、すごいの、地面に無数の絵が描かれておる」


織田信長は櫓のてっぺんに登ると大地を見回して歓喜していた。


「凄いでしょ、ナスカの地上絵です」


「真琴様、これはなんの為のものなのですか?」


茶々もその光景に驚いている様子で目を輝かせていた。


「理由は定かではないんだよ。神々に捧げた絵とか、宇宙人に見せる物だとか荒唐無稽な理由もあったし」


「へ~、以前、真琴様は月には人がいないとおっしゃられましたけど、私が想像しますと、かぐや姫にでも見せているかの如くですが」


「茶々はロマンチストのところがあるよね」


「ろまんちすと?」


「ん~夢追い人みたいな」


そう言うと、納得の表情をお江がしていた。


「茶々姉上様は確かにそうですね、お初姉上様は現実的だけど」


お江の分析は適格だった。


「常陸、これは月から見えるのか?」


「見えないと思いますよ。飛行機くらいでちょうど良く見える物ですから」


そう言うと、茶々につねられた。


「だから、夢を壊さないで下さい」


頬を膨れさせ怒られてしまった。

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