第951話 若武者の正体

「まいりました」


立ちはだかっていた若武者との勝負。


俺の我流牙突で吹き飛ぶと、すぐに降参した。


「須佐、鍛錬はしかとしているようだな」


「な~んだ、父上様、気が付いていたのですか?」


兜と面を外す若武者は、俺の八男にしてインカ帝国次期皇帝の須佐だ。


茶々は初対面だからわからなかったのだろうが、お江は仕草などから気が付いたという。


俺は気の気配で気が付いた。


「常陸の息子か?」


「はっ、御無礼いたしました。黒坂常陸守、八男の須佐と申します」


「信長様、インカ帝国皇帝と俺との子です」


「ふむ、そうか、撃たなくて良かったわい」


須佐は少々青ざめていた。


「須佐、んなことしてると本当に撃たれるからっとに、勝負したいならそう申せば良いものを」


「はっ、しかし、そうなると手加減するのでは?と」


「はははっ、勝負事で手加減はしないさ。ほれ、それよりファナは息災か?」


「勿論でございます。母上様はクスコにおります。ご案内いたします」


須佐が正体がばれると物陰に隠れていた護衛の兵およそ250人が現れ片膝を付いて頭を下げていた。


「クスコかぁ~、クスコに行く前にナスカに寄りたいのだけど」


「おっ、また地上絵でございますか?父上様」


「信長様に見せたくてね。それにヘリコプターと飛行機も開発したから上から見られるし」


「父上様、上空からなら私が作りました乗り物がございます。是非ともご活用いただければ」


「あっ、あれ成功した?」


「はい、父上様の期待に応えられるよう、試行錯誤を繰り返しまして」


満面の笑みで誇らしげにしていた。


須佐の案内で、ナスカに歩みを進めた。

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