第819話 死?

 「てへ、撃たれちっゃた」


「???えぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!お江!?」


むくりと起き上がるお江、


「えええええええ?お江、大丈夫なのか?」


「う?うん、だって私、鎖帷子着てるもん」


と、服を脱ぐと目の細かいベスト型の鎖帷子を見せてくれた。


そこに一発の弾、貫通せず残っていた。

精巧な鎖帷子の防弾性能は平成時代でも貫通力の高いトカレフの弾をも防ぐと言われている。

最強の防弾チョッキ。


「流石に衝撃で気絶しちゃったみたい・・・・・・マコ?大丈夫?」


と、何でも無い顔を見せるお江を強く抱きしめ、大きな涙を流す。


「うっうううううう、良かった良かったお江ぅぅぅぅぅぅぅ、って信長様ぁぁぁぁぁぁぁぁ」


「五月蠅い、傷に響くだまれ」


と、生きている織田信長は左肩から血を流していた。


「私に任せて、すぐ弾を取って止血するから。大丈夫、私、失敗しないので」


と、佳代ちゃんが手際よく手術を始めた。


麻酔がないというのに織田信長は痛みを物ともしない顔で治療を受けて、1時間後には傷はしっかりと縫われていた。


「はい、お終い」


と、なんとも力強く言う佳代ちゃんが格好いい。


流石に疲れたのか織田信長は横になっていた。


「御大将、敵は一人の様子。死体を改めましたが身分を表す物はなく・・・・・・」


と、柳生宗矩がムリタファスと一緒に報告に来た。


「申し訳ない、案内を任されているのに」


と、ムリタファスがいつもの笑いが消え顔を青くしていた。


「敵はもともと多いので、・・・・・・油断してしまった俺も悪いので気にせず」


「ですが、間違いなく、この者は我が国の民」


玄関に置かれた遺体は一般的なオスマン帝国の民の服装、ターバンを巻く30歳くらいの男。


「・・・・・・オスマン帝国とは仲良い関係を築いていたと思っていたのだけど」


「アメフトス殿下が常陸様を慕う心には嘘偽りはないこと、この者はそれを良く思わぬ者の手先かと・・・・・・」


「ムリタファス殿、そのような者がいるのならアメフトス殿が危険、宗矩、忍びの手配を」


「はっ、御大将」


「夜明けを待って出立、一度カイロに戻る」


と、指示を出し夜明けを待った。

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