第815話 死海
「なんだ、ただの湖ではないか」
エルサレムから馬車で揺られて着いた死海を見て落胆の表情を見せる織田信長。
「信長様、なにを期待していたのですか?」
「地獄のような光景だ」
「って、言うか、なぜ死海を知っていたんですか?」
少々疑問に思っていたことを聞くと、
「ん?この辞書で『死』を調べていたら出てきたからの、見てみたかったのだ」
「塩分濃度が極端に高いだけの湖ですよ。別に『死』に近い湖では・・・・・・って、その水で顔あらっちゃっだめ」
と、茶々達を注意し止めた。
「え?案内人がここの水は肌に良いと」
と、お初が泥をそこからすくって言うと、
「確かにミネラル分が豊富ですから泥パックなどは良いでしょうが、目や傷口に入ったら大変ですからね、気を付けてください」
と、佳代ちゃんが止めてくれた。
死海と言えば浮力が高くて有名だが、傷口や目、皮膚の弱い所に付着するとしみ激痛となる。
さらに誤飲してしまうと内臓に大ダメージを与えてしまい、死に直結する。
意外にも湖水浴には注意が必要。
「案内人も無責任だなぁ、ここは近くに温泉が豊富だからそっちに案内して貰おうか?俺はちょっと探したい物あるし」
「ん?なんだ?面白い物でもあるのか?」
「信長様の期待に応えられる物は出てきませんよ。そんな面白い物では。面白いと言うか見たい物ならここから南に行くとあるのでちょっとだけ待ってて下さいよ」
「まあ良い、せっかくだ常陸が見つけたいと言う物を見届けてやろう」
「本当に面白い物ではないですよ」
「面白いか面白くないかは、儂が判断すること、さぁ、始めよ」
「では、ムリタファス殿、小船を出していただいて良いですか?」
「ふぉっほほほほほ、構いませぬが、魚などはおりませんぞ」
「はははははっ、そのくらいは知ってますよ。湖面から探したほうが良いので」
茶々達は近くの温泉に案内され、俺と織田信長とムリタファスは5隻の小船に警護を5人ずつ乗せ死海に浮かんだ。
お江も、こちらのほうが面白そうだと同船する。
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