第777話 ナイル川沿い緑地化計画
カイロにある大使館に戻り、発掘品を事細かくイラストとして残して貰う。
写実的絵のセンスがあるお江と、小滝に頼み、それに合わせてリストも製作する。
リストは若いながらも生真面目な荒木又右衛門が指示しながらやっていた。
紛失などさせないためだ。
そんな作業をしていると、暇な織田信長はナイル川冒険をしたいと上流に行きたいらしく、柳生宗矩、猿飛佐助、霧隠才蔵、の50の忍び兵を同行を命じ送り出す。
飽きれば帰ってくるだろう。
そんな作業を見ていると、
「父上様、このように砂の大地をどうにかならないのでしょうか?」
「桃信、どうにか?とは、具体的には?」
「はっ、これだけの広大な土地、畑に出来れば良いのですが。父上様の知識で、どうにかなりませんか?」
サハラ砂漠を少しでも勉強している者にとっては、無理難題を言ってきた。
「桃信、この地サハラ砂漠は、気候その物が雨が降りにくい気候だからな・・・・・・」
「でしたら、ナイル川から水を引いては?」
「ナイル川の川沿いを緑地化する事ぐらいなら、案もないことはないが」
「どのようにいたせば?」
「オーストラリアにユーカリという木があるが、ユーカリは地下深くまで根を伸ばし水を吸い上げる力が強い。それを利用して川沿いを緑地化する。ユーカリが根付けば、その下に他の樹木、草も生えてくる」
平成の時間線で、昭和初期に砂漠化したインドにユーカリを植樹し緑地化をさせた『インドの緑の父』と、呼ばれた『杉山龍丸氏』の緑地化案だ。
農業高校や大学に行っていたわけではないので、詳しいところまではわからないが、ユーカリの木の植樹で実際、インドの国道一号線は緑地化に成功している。
「父上様、オーストラリアと言えば、私が赴く事を予定している地に御座いますね?」
「そうだ、そのように予定している。ちょうど良い機会だ。オーストラリアに行ってユーカリの木を持ってきたらどうだ?俺はしばらくこちらにいるし。ただ、ユーカリ利用緑地化計画は、上手くいくかはわからぬがな」
ユーカリの木、確か熱いと自然発火しやすかった品種でもあったような・・・・・・。
「父上様、黒坂家は巨万の富を持っております。その富の有効活用は農政改革だと心得ております。その第一歩にユーカリ緑地化計画を試しとうございます」
その言葉に俺は目頭を押さえずにはいられなかった。
「桃信、成長したな。よし、茶々、資金を頼むぞ」
「はい、言われなくてもその様に素晴らしい志には出させていただきます。桃信、失敗しても良い。始めなさい。金ならいくらでも出しますから」
「有り難うございます。では、早速オーストラリアに向かいます」
と、桃信は旅立っていった。
成長した我が子。
感極まる。
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