第700話 神聖ローマ帝国艦隊対黒坂水軍艦隊海戦・下
砲撃型潜水艦を神聖ローマ帝国艦隊の後ろに回して挟み撃ちで攻撃する、啄木鳥戦法。
武田信玄と上杉謙信の川中島の山本勘助は上杉謙信を背後から突いて山を下ろさせ挟み撃ちにする戦術、多少それに似ているため俺はそう名付けた戦術だ。
突如として背後からの攻撃に戸惑ったのかまとまっていた艦隊がばらけだした。
「戦艦・摩利支天、戦艦・韋駄天は先方から離脱、戦艦・伊弉冉尊、戦艦・伊弉諾尊、
戦艦・火雷神、戦艦・天之御影前進、砲撃開始」
俺の艦隊の大きな利点は前方砲撃も可能という作りだ。
相手は横からしか撃てない為、旋回する必要がある。
ばらけてしまっている陣だと見方の艦どうしぶつからないか注意して旋回しないとならなくスムーズには出来なくなる。
そこを狙い撃ちする。
すでにこちらに対して砲撃してくる体勢だった船を狙い撃ちにする。
沈む敵艦の合間を抜けて横一列になろうとしているときさらに指示を出す。
『センスイカン フジョウ ホウゲキ カイシ』
有線魚雷には数の制限もあるためあまり多用できない。
そこで後方からの砲撃だ。
後方に突如として現れる砲撃型潜水艦。
その意表を突く船に対応するだけの準備は出来ていない様子で慌てる敵艦隊は砲撃の狙いも定められずにいた。
「敵は混乱している。ここですべてを叩く。無駄玉を撃たずに狙って撃て」
と、指示を出す。
甲板に取り付けられている可動式ドーム型砲台を搭載一つのドーム型砲台に大口径アームストロング砲3門、前方の4機12門×4隻、合計48門が敵艦隊を次々に狙っていく。
後ろからは2門×2機4門×5隻、合計20門の大口径アームストロング砲。
挟み撃ちには十二分すぎる数だ。
50隻対9隻だろうと前後から合わされば敵ではない。
逃げようと蒸気機関をフル回転にさせているのだろう、敵の艦隊は煙をもくもくと出す。当たりが若干見えにくくなり出しているところに、
「東に戦艦・摩利支天、西に戦艦・韋駄天前進取り囲め」
と指示を出す。
東西南北すべてを包囲する。
逃げ場を失い突撃してくる敵戦艦も多数出てきたがこちらは狙って撃つだけ。
艦隊戦はもう幾度も繰り返してきた。
数の差、戦術の差、技術の差、そして、慣れの差、さらに、運の差。
この五つが合わさったとき、敵はいない。
昼過ぎに始まった神聖ローマ帝国艦隊との艦隊決戦は夕方には終わっていた。
圧勝。
沈みゆく敵の艦隊の残骸を横目に一路ヴェネツィアと向かった。
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