第563話 遭難生活
ホルノス岬、岬と言いながらも実は島。
南アメリカ大陸との間には海がある。
南アメリカ大陸の端は複雑な地形だ。
着岸した島は偶然なのか無人島。
交流を持たない原住民との接触に蒸気機関外輪式推進装置付機帆船型鉄甲船戦艦・武甕槌がない状況では避けたい。
武装はリボルバー式歩兵銃があるので、よほどの事がなければ有利だが、長期戦になれば弾薬は尽き不利に陥る。
遭難生活はまさに、テレビで見ていた無人島生活のようで、缶詰めを節約しながら素潜りが得意な者が海に潜っては魚を調達してそれを食べる生活になっていた。
漂着する木々を燃やしながら暖をとり、交代で避難船で寝る生活。
育ちがよいお初やお江は不満を言うかと思えば、
「小さな頃、小谷の落城の時の事はうっすらと覚えていますが、それよりはましです。敵兵に怯える必要がないのですから」
と、お初は言い、お江はサバイバル生活を楽しんでいるようだった。
桜子・小滝はもともと貧しい家の出の為、昔を懐かしみ、ラララはもともと離島生活だったので慣れた物だった。
どちらかと言えば真田幸村のが落ち着かない。
「御大将、やはり私が助けを呼びに行きます。行かさせて下さい」
「幸村、それはもう少し待て」
「と、おっしゃいますと時期を見ているので御座いますか?」
「ファナが異変を感じ信長様、もしくは政宗殿に報告が行き捜索隊が出るのに早く見積もっても約3ヶ月は必要、よって4ヶ月を過ぎても助けが来なければ、考えようかとは思っている」
「なるほど、しかし、私が行けばさらに短縮されるのでは?」
「この辺の住民とは交流がない。出くわせば戦闘になりかねない。それは望まぬ事、幸いにしてアルパカの毛で作った毛布もあり、暖も取れる。海産物ばかりで偏ってはいるが食料も調達できる。だったら無理をする必要はないであろう」
「御大将がそう言うなら」
「幸村がそんな顔をしていたら兵士達が不安がる。ドンと構えて待つのだ。ジブラルタルには宗矩もいるからな、彼等を信じる」
「はっ、ならば長期戦を見据えまして砦を造らせていただきます」
そう言って幸村は流れ着く木々、転がる岩を積み上げる指示を出して少しずつ砦を作り始めた。
長期戦になるなら必要だし、助けがきたならこの島には灯台と避難小屋の設置をしたいと考えているから任せよう。
幸村は、2ヶ月程で石を積み上げた高さ3メートルほどの小さな灯台を作り上げ絶やさず漂着物を燃やし続けた。
一人孤独な遭難生活だったら俺も落ち着いてはいられないだろう。
平成時代、ハリウッド映画で孤島に一人漂着して映画一本のほぼ全編一人芝居をする映画があり、孤独に耐えかね、自殺を考え始める映画があったが幸い俺には仲間がいる。
助けが来る希望もある。
信じればきっと助かるだろう。
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