第553話 インカ帝国とファナ

 「ファナ、マチュピチュに行きたいのだが」


と、ひさびさに2人っきりになった寝室でファナに言うと、ファナは驚いていた。


「なぜに ソノ 都市の名ヲ? って、聞かない ホウが 良いのでしたね」


俺の言動に「なぜ?」が禁物であるのは知られている。


それは、ファナも例外ではない。


「アノ都市は、イスパニアから 逃れる為に ツクッタ町 ですが、ヒタチさまなら良いでしょ」


イスパニア帝国の侵略から逃れるために造られた説のある都市。


イスパニア帝国は隠された黄金郷だと思い込み必死になって探すが見つけられずになり、忘れ去られた後、飛行機が飛び交うようになるまでは歴史から消えた町。


しかし、今ならまだ使用している。


あの世界的な日本アニメ映画の巨匠が描いた、天空の城を思わせるようなところもある。


俺はイスパニアみたいに黄金略奪をするわけではないのは、周知の事実。


ただただ、マチュピチュをこの目で見たいだけなのだ。


インカ帝国の遺跡のどうしても見たい物の一つ。


「山奥デスガ、大丈夫デスカ?」


「俺なら心配ないよ、家臣も人選してある」


この目的のために高山にも強い物を小滝にリストアップさせている。


俺も昔はお祖父様と共に山伏姿で山を駆け巡った。


3000メートル級なら問題ない。


「準備 ガ よろしいことで」


と、ファナは笑った。


ひさびさの二人の夜は更けていく。

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