天狗とピノキオ
チキン
一話完結
「おい天狗、」
「なんだよピノッキオ」
「いつも言ってるだろ、俺はピノッキオじゃない、ピノキオだ、」
「そうかノッキオ」
「天狗、おまえあんまり調子にのるなよ、」
「そういうおまえはウソばっかりつくなよ」
「昨日よりずいぶん鼻、のびたなぁ、」
「おまえも昨日よりずいぶん鼻のびたなぁ」
「おれのはあれだよ、ついていいウソをついてんだよ、」
「ついていいウソって何だよ?」
「幸せになるウソだよ」
「幸せになるウソ?なんだよソレ?」
「幸せにするウソだよ」
「ふ~ん、ステキだな。メルヘンチックだなおまえ」
「メルヘンだよ。だれに言ってんだよ。」
「そうだったな。おまえメルヘンだったな」
「なんかおまえ、顔赤くなってんぞ?」
「元からだよ」
「いや~しかし梅雨だなぁ~あち~」
「そうだな、この時期はまいるよな」
「おれなんて若干、鼻曲がってきてるもん、木だし、」
「そのまま先っちょだけ曲げて杖つくったらどうだ?おまえのじいさんきっと喜ぶぞ」
「なるほど、それはいいアイデアだな、
確かにじいさん、最近腰がまがってきてさぁ、
杖があれば楽になるだろうなぁ
って、そこまで都合よく曲がらねえよ!
どんなウソのつき方したら先っちょだけぐにゃってまがんだよ!」
「そうだな」
「あれ天狗、顔赤いぞ?
そんなにおもしろかったか?」
「元からだよ」
「おまえさぁ、うちわもってんじゃん、葉っぱのやつ、」
「ああ もってるよ」
「それでちょっとあおいでくんねぇか、」
「やめとけ、からだぶっ飛ぶぞ。」
「はぁ?」
「おまえなぁ、天狗のうちわっつったらひとあおぎで突風をおこすほどのしろものなんだぞ、」
「そりゃすげぇなぁ、逆に見てえよ、ちゅっとやってくれよ、天狗、」
「できねぇよ。俺まだ見習い中だし。」
「あれ?天狗、おまえなんか顔赤くなってねぇか?」
「元からだよ 全然素だし」
「じゃあさ、お前あれ吹いてくれよ、ホラ貝、天狗なら持ってるだろ?ぼおおぉーってやつ、」
「おまえなぁ、天狗のホラ貝っつったらあれだよ、仲間たち集まっちゃうよ?
どこだどこだつって。
で、何もありません、ただ吹いただけなんですぅ~つったらおれ、ふくろだたきにあっちゃうよ、天狗だたきだよ、」
「じゃあさ、小さめに、ちょっとだけでも吹いてくんねぇか、」
「出ねぇよ。俺見習い中だし。」
「あれ?天狗、おまえ動揺して顔、赤くなってねぇか?」
「元からだよ。1ミリも動揺してねぇよ」
「おまえあれだな、天狗らしいの見た目だけだな、」
「おまえに言われたくねぇよ」
「じゃああれだな、、鼻相撲でもやるか、」
「そうだな」
カツカツ、カツカツと、あたりに小気味よい音が響くのであった。
天狗とピノキオ チキン @green4649
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