『キングコング』

『キングコング』(映画/監督:メリアン・C・クーパー、アーネスト・B・シュードサック/1933)


 これまた有名な話だが、念のため序・破・急で解説。


【序】売れない映画監督・デナムが、これまた売れない女優・アンをスカウトし、未知の島へのロケを敢行する。その船旅の途中で、アンは船員の一人・ドリスコルと恋に落ちる。


【破】その島の原住民に美貌を認められたアンは、彼らに拉致され、巨大な猿人・通称『コング』にさらわれてしまう。デナムとドリスコルたちは救助隊を結成、コングの後を追うものの、そこで多くの恐竜たちに遭遇する。コングはそのことごとくを打ち倒す。しかし、ドリスコルが単身でアンを救出、それを追って海岸に出たところを、コングは人間の使う催涙弾で眠らされてしまう。


【急】デナムによって、ニューヨークに連れてこられたコング。拘束を振り払い、アンを誘拐して暴れ回るものの、エンパイア・ステートビルに登ったところで機銃掃射に遭い、絶命して落下。アンはドリスコルに救出され無事だったものの、コングの死は、こんな事態を招いたデナムの胸中に複雑な感慨を残すのだった。


 とまあ、こんな感じ?


【序】の段階で、地道に堅実に作られているのは分かる。が、この映画の本番は【破】、すなわちコングの登場から。

 敵となる恐竜が出るわ出るわ。ティラノサウルスやら、大蛇やら、プテラノドンやら。そしてその全てが生き生きしている。ゴジラが単体でデビューしたことを考えると、実に豪華なラインナップ。


 その戦いを見るに、アクションの気骨は実にしっかりしている。『誰が・どこで・何をしているのか』、それが実に分かりやすい。これはヒューマンアクションでも言えることだが、この三つがはっきりしていればいるほど、観客は理解が容易になり、自然と創造世界にのめり込む(まあ、わざとはっきりさせずにスリルを煽る『エイリアン』系統の傑作も多々あるのだが)。

 とにかく、伝説的巨大生物映画に、そのエッセンスがきちんと埋め込まれているのは、深い感動を観る者に感じさせる。


 また、大胆な合成による接写も凄い。アンの背中の向こうで、コングとティラノサウルスが戦っているカットなど、雷に打たれたような感激を覚える。すげぇ迫力。


 古臭いことは素直に認めるし、現代との技術力の違いは納得せざるを得ないけれど、それを乗り越えて歴史に残る気迫、意欲、創造性を感じさせてくれる。


 純粋に素晴らしい、と唸らされる一本である。

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