Works:184~夕暮れ時~

駅からの帰り道

夕暮れ空の下


一人坂を上って歩く

いつも繰り返している光景


坂の途中で立ち止まる

知らず涙が一滴零れた


あれ

おかしいな


私なんで泣いているんだろう?

問いかけても答えてくれる人はいなくて


野良猫がこちらを一瞥して去っていく

そんな時に頭から離れなくなる疑問


私ここにいていいの?

ぐるぐるぐるぐる


はっとして思わず駆け出した

夕日も道行く人たちも私を笑ってる


そんな妄想ばかりが頭をよぎって

走り続けた


鍵を開けて飛び込んだ家の中

部屋のドアにかけたボードが目に入る


おかえりなさい

君は君の好きなようにしたらいい


見覚えのない文字で

そんな言葉が並んでいた

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る