五十 もとの日常

 昨日の夜は、結局カメッリアお姉様の抱き枕となり一緒に寝る羽目となり眠っていたが、いつも通り早く目が覚めてしまった為、うまく抜け出してお姉様に枕を入れてゆっくりと部屋から抜け出す。それから服に着替えて、狩りに行く準備をして外に出る。

 朝早くから転移ポータを使い検索サーチして、モンスターを探している。少し歩いた所に、ハグレがいるくらいかさてとヒレ落としてくれるかな……、そんな考えをしながら気配を消して木を蔦っていくと見えてくる。見る限りおとなしそうに見えるが、気づかれないうちに喉と目を潰すか――。

 ゆっくりと地面に着地して、足音立てずに近づき……気づかないうちに、喉に斜めからナイフを投げ刺して、目が合った瞬間に、二本のナイフを右手で投げて両目に命中させて黙らせる。辺りが見えなくなった所で、周りを構わず攻撃しているのをちょっと後ろに下がり、ゆっくりと背後に近づき……心臓に近い背中を長めのナイフで串刺しにして、トドメと心臓を串刺して倒した。

「よし、霜降りのヒレ肉ゲット」

「白金の材料もそろそろ飽きたな……」

 ブツブツと呟きながら拾っていく、拾った傍から収納ボックスに入れていく――。そして、検索サーチを使うと、鬼神の群れを察知する。近くに行く為に、木を蔦ってゆっくりと進み上からゆっくりと様子を見てみた。棒を持った鬼神が二体に、杖を持った鬼神が一体、刀を持った鬼神が一体いる事が解る。杖を持った鬼神がどのような行動をするかを見極める為に、こっそりと棒を持った鬼神の喉元に……気づかれないように、木の陰からナイフを投げつけて喉に命中させる。

「「「オォォォォォォォ」」」

 刺さった事に気付いた仲間達が、大きな雄叫びをあげる。そしてなんと杖を持った鬼神が、刺さったナイフを手で持ち一気に引き抜くのが見える。すると何かを唱えるように、傷口がみるみる塞がっていく。

 これは、回復を出来る鬼神と見て良いだろうか……、それから刀を持った鬼神は、周りの木を切り倒すという場面を見せてくれた。

「あの杖を持っているのが、邪魔だな」

 どうにかあの杖を持った鬼神の喉と目を潰せないかを考えた結果、風と闇を使って幻術を作る事にした。ゆっくりとイメージをして……言葉を放つ――。

「『幻痲カンマ誘香いざなうかおり』」と囁くように唱えた――。

 霧のような白い煙が辺りを包み込み……そっと鬼神全員の喉元にナイフを投げ刺し、もがいている杖を持った鬼神の心の臓を思いっきり長めのナイフで突き刺し、その場をそっと離れる。

 白い煙の霧は、拡散するように消え去り、その場には死体が転がっている。慌てふためく鬼神は、何が起こったのかを理解出来ず暴れ出す。次に、三本のナイフを斜めからゆっくりと投げて、三体いる鬼神の喉元を突き刺して、そっと横を通るようにして、六本のナイフを目に向けて刺してからその場を離れたように見せかけて、ステップを踏むように背中に、長めのナイフを突き刺していくと―――。

 辺り構わず刀を持った鬼神が刀を振るい斬りだすも仲間を巻込み、二体の棒を持った鬼神は、あっけなく殺されていくのが見える。そのまま大きく振りかぶった所で、ナイフを心臓に突き刺して、鬼神を全滅させる。

「こんなものかな?」

「高級霜降りのヒレ肉二個、霜降りのヒレ肉二個かぁ~」

「高級とか凄いな」

「白金の材料がいつもの三倍ある」

 全て収納ボックスにいれていき、祖母の家に寄っていく……。

「お婆様、おはようございます」

「おや、フルグルおはよう」

 今日現れた鬼神についての詳細を話すと……。

「よく無事だったね」

「杖を持ったのと刀は、やばいクラスのモンスターじゃよ」

 どうやら回復させる鬼神と刀を持った魔人は、危険なモンスターだったらしく滅多に出会う事が無いと言っていた。それだけ高級な物を見せた所かなりの稀少な物だったらしく食べた事がないとお婆様が話した。二個あったうちの一個を渡そうとするとそんなに食べれないから半分で良いと言われ一個と半分は、家に持って帰る事になった。今回あった事は、お婆様と内緒となりまたもや内緒ごとが増えてしまった。そして、そのまま転移ポータを使って家に戻り、朝ごはんの準備をするのだった。

 取れたての霜降りヒレ肉を片面ずつ焼き目を入れていく……厨房から香ばしい肉が焼ける匂いが、部屋中に広がっていく――。

「もう一個の肉は、燻製でもしたいな……」

 そんな事を考えながら肉を焼いて行くと階段を下りてくる音が聴こえてくる。

「あっ……、フルグルいたぁぁぁ」

「カメッリアお姉様、おはようございます」

「おはよう~」

「じゃない!!」

「どうしました?」

「フルグル起きたら居ないだもん」

「目が覚めたのが早かったので、起こさない様に抜けました」

「それなら優しく起しにきてくれたっていいじゃない」

 どうやら朝起しにいくのが正解だったみたいで、そのままにしていたのを怒っているみたいだった。

「ごめんね、お姉様……お姉様の為に、ご飯作っておくのがいいのかと思ってたよ」

「そうなの?」

「確かに、香ばしい香りがする」

「もう少しで、完成するから」

「皆に声をかけてきてくれるかな?」

「し、仕方ない……」

 お姉様は、皆の所にご飯が出来た事を伝えに行ってくれた様子と考えさっきの答えは、正解かなと内心思いながらオーブンに、片面ずつ焼いたお肉をゆっくりと入れていき――、焼きヒレ肉と野菜のオーブンロースト焼きを作っていく。

「あら、おはよう」

「フルグル早いわね」

「お母様、おはようございます」

「朝から狩り行ってきたて事ね」

「ばれてます?」

「狩りした時に、厨房でフルグルが基本的に料理する確率が高いからかな?」

「今日の朝ご飯は何?」

「ふっくらしたホットケーキ、焼きヒレ肉と野菜のオーブンロースト焼きと肉の油から取った……卵のスープですね、ミルクもありますよ?」

「だんだん、私よりご飯が作れるようになってきたけど」

「たまにですし、カメッリアお姉様が居る間は、出来る限り作ろうかと思いまして」

「あっ、そろそろオーブンから出さないと」

「テーブルで待っているわね」

 オーブンから出すと、野菜が肉汁で綺麗に蒸し焼きになっており、匂いが食欲をそそる感じがする。焼けたのをそのままテーブルに運び順番に、切り分けて皿に盛っていく……その後に、スープをだしていき――。ふっくら焼けたホットケーキを皆のお皿に乗せていく。

「今日は、朝から豪華なんだね」とマールムお姉様が嬉しそうに話す。

 そんな中で、祈りをしてから皆で一斉に食べ出した。

「このホットケーキふわふわして美味しいぃ~」とロートゥスお姉様が、嬉しそうにフォークに刺して、食べている。

「このお肉は、凄くジューシーだな」とピュルガトワールお兄様が嬉しそうに食べている。

 カメッリアお姉様だけ特別に、林檎で作ったジャムをパンケーキの中に入れてあげると?

「フルグルありがとうね」

「美味しいよ、愛が……」となぞの言葉を言いながら食べるのだった。

 皆が落ち着いて食べ終わった頃に、ミルクで作ったアイスを提供すると……。

「「「「「「これはなに、凄く美味しい――」」」」」」

「それは、良かったです」

 皆が、デザートを食べて美味しいと言ってくれた。帰りにお婆様の所で貰ってきていた材料は、正解だったと内心喜び、その後皆で楽しくお話をするのであった。

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