第3話 毛色の違う依頼


 探偵事務所を訪れる人間は大きく三つのタイプに分類できる。緊張した面持ちで用件を淡々と伝える人。口を開くのもつらそうな暗い顔の人。そしてハロルド・オズボーン氏のように、一方的に自分の言いたいことをまくし立てる人である。

 とりあえず、話だけでも聞いてみることにした。


「どうぞごゆっくり~」


 三人分のコーヒーを用意すると、クレアはお盆を胸に抱いて退出した。

 湯気の上がるマグカップに口を付けて、ようやくハロルド氏は興奮が冷めてきたらしい。

 彼は大きく息を吐いて頭を振った。

 

「先ほどは申し訳ありません。私としたことが、もう少し言葉を選んだほうがよかった」


「と、言うと?」


「幽霊退治というのは、ものの喩えです。正直なところ、私だって幽霊など信じていません。事実無根の怪談話を消し去るのに、どうかホームズさんのお力をお借りできないかと考えた次第なのです」


「なるほど……。たしかに屋敷を高値で売り捌こうと思ったら、『幽霊が出る』なんて噂は邪魔だろうな」


 リョウがつぶやくと、ハロルド氏は口をぱくぱくさせた。


「なぜ、それを? 私はまだ何も説明していないのに!」


「いいや、大したことではない。ちょっと計算しただけさ」


 大量のミルクをコーヒーに注ぎながら、リョウは得意げに微笑んだ。どんなにカッコつけていても、彼女はブラックコーヒーが苦手なのだ。


「ミスター・オズボーン。あなたは見るからに金持ちだし、部屋から一歩も出ずに稼ぐことができる身分のはずだ。にもかかわらず、あなたの頬には日焼けの跡が残っている。しかし、手のひらには豆がない。体格からいってテニスやクリケットのようなスポーツをしているとは思えない。だとすれば、船旅で焼けたのだと考えるのが自然だ。……失礼だが、どこか外国に長くお住まいだったのでは?」


 同じことをぼくも考えていた。彼の言葉には、わずかにオーストラリア風の訛りがあったからだ。


「おっしゃる通りです。私はクイーンズランド州に鉱山を持っていまして……。向こうで暮らして、もう五年以上になります」


「そんなあなたが、『屋敷の幽霊を退治してほしい』と訴えてきた。こうなると計算結果は明らかだ。ご家族――おそらくはお父上――から遺贈された屋敷があるのだろう。あなたとしてはイギリスに住み着くつもりは毛頭ないから、どうにか処分したい。ところが、思わぬ怪談話が出てきたせいで、売り払うことができなくなった。……こんなところだろう」


 ハロルド氏は両腕を広げて驚きを表した。


「何もかも、おっしゃる通りです! しかしそうやって解説されると、じつに簡単なことに思えますね。最初はまるで神通力をお持ちかのように思えたのに」


「別に。私には検算の習慣があるだけさ」


「検算?」


「あなただって鉱山を経営していらっしゃるのなら、帳簿の確認は欠かさないだろう。おかしな数字を見つけたら、経理担当者に検算を命じて原因を突き止めさせるはずだ」


「まあ、それはそうですが……」


「私はその習慣を日常生活に広げているにすぎないよ。驚くべきことに、大抵の人間は検算をしない。目の前でどんなに奇妙なことが起きても『不思議だな』と思うだけで、その原因に思考を巡らせないんだ。だから、ちょっとした検算の習慣があるだけでも、まるで千里眼を持っているかのように思われてしまう」


「ははあ、違いない!」


 彼は膝を叩く。

 リョウが計算能力の高さを見せつけて依頼人を喜ばせるのは、よくあることだ。

 もっとも、本人が喜ばせるつもりでやっているのかどうかは分からないけれど。


「とはいえ私が出しゃばることもないだろう。ご依頼は謹んでお断りするよ」


 ふわ……とあくびを一つして、リョウは再び新聞を広げた。彼女は金にならない仕事を引き受けない。母親の情報が得られそうなら話は別だが、今回はそういうわけでもなさそうだ。

 ハロルド氏は食い下がった。


「し、しかしホームズさん――」


「計算するまでもなく、怪談話なんてすぐに飽きられるし、忘れ去られる。日本では古くから『人の噂も七十五日』と言うのだが、この国では何と?」


「強いて言えば、『どんな驚異も九日間(A wonder lasts but nine days)』かなあ?」


 ぼくが答えると、リョウは「それはいい」と声を上げた。


「さすがは変化と刺激に満ちた国だね。日本ではふた月以上待たなければいけないが、ここではたった九日間の我慢で済むようだ」


「冗談はよしてください! 私は真剣にご相談しているのですよ?」


「そうだよホームズ、そんな邪険な態度を取ることはないだろう」


「お役に立てず心苦しいが、こう見えても私は多忙で――」


「何が多忙なもんか。朝からずっと下らない新聞を読んでいるくせに」


 リョウはむすっとする。


「余計なことを言わないでくれ」


 ぷいっと顔を背けて、新聞紙に向き合った。

 すがりつくような声でハロルド氏は言う。


「当然ですが、謝礼はたっぷりとご用意いたします」


 リョウは身じろぎ一つしない。が、彼女の耳がぴくりと動くのをぼくは見逃さなかった。


「じつのところ、私は一日も早くオーストラリアに戻らねばなりません。九日間も待っていられない状況なのです。私の会社ではつい先日、大きな金鉱脈を掘り当てたばかりで――」


 リョウは居住まいを正した。


「もしやあなたの会社というのは……」


 と、会社名を口にする。依頼人は力強くうなずいた。


「いかにも。私はその会社の経営者です」


 彼女は新聞を折りたたみ、脇に避けた。


「もう少し詳しい背景をお聞かせ願えるだろうか」


 呆れた変わり身の早さである。


 ハロルド氏によれば、彼はイングランド南部にこぢんまりとした邸宅を持っているらしい。彼の一族――オズボーン家は、今をさかのぼること二百年ほど前、名誉革命の時代にオランダとの貿易で財を成した。国内外に多数の農地を持ち、そこから得られる収入で暮らしてきた。


「いわゆる地主階級(スクワイア)というやつかな?」


 リョウは目配せする。ぼくはうなずいた。

 この国の上流階級は、さらにいくつもの階級に細分化されている。その中でも比較的下のほうに位置するのが地主階級だ。爵位を持たないため貴族とは呼べないものの、不労所得があるし参政権もある――。そういう身分である。

 ハロルド氏はため息をついた。


「とはいえ、私の一族に勢いがあったのは前世紀末ごろまでの話です。今世紀に入ってからは先細るばかりでした。とくに私の父には商才も投資の才能もなかったようで、一家の財産を大きく減らしてしまったのです」


 セドリック・オズボーン。それがハロルド氏の父親の名前だそうだ。

 

「父は結婚が遅かったので、私が生まれたときにはすでに初老をすぎていました。母は私を産んですぐに亡くなったため、私は早くから寄宿学校に預けられて育ちました。だから、今になって相続しろと言われても、父の屋敷にはそれほど愛着や思い入れはないんです」


 しかし、父のセドリックはそうではなかった。

 息子には代々続いたオズボーン家を継いでほしいと望んでいたし、オーストラリアへの渡航にも猛反対したそうだ。


「私を鉱山経営に誘ってくれたのは大学時代の友人です。父には申し訳ないが、私は誘いに乗りました。男たるもの、人生に一度くらいは冒険してみたくなるものでしょう?」


 ハロルド氏はニヤリと笑った。氏の友人はその後、事情があってオーストラリアを離れることになった。今ではハロルド氏が一人で会社を切り盛りしているという。


「父の訃報が届いたのは、一年ほど前のことです。わずかな債券と土地、そして屋敷を相続することになりました。私にはオーストラリアでの生活がありますし、はなから遺産は処分するつもりでした。そうは言っても、書類仕事をイギリスの弁護士に任せ切りにするわけにもいきません。というわけで、遠路はるばるスエズ運河を越えて、故郷に戻ってきたのです」


「オーストラリアでの生活か……。立ち入ったことをうかがうが、ご結婚は?」


「まだです。せっかくイギリスに戻ってきたのだから、落ち目の貴族の娘でも見つけられたらいいんですけどね」


 ハロルド氏はガハハと笑った。冗談めかした口調で続ける。


「こちらは良家との繋がりを、向こうはカネを手に入れられる――。私がロンドンのホテルで生活しているのは、仕事がしやすいという理由だけではありません。そういう出会いも期待しているわけですよ。今が社交の季節だったら、なおよかったのですが」


「ふむ、ロンドンにご滞在なさっていると。それでは屋敷の管理は?」


「使用人に任せています。先祖代々、私の家族に仕えている執事の一家が――ステビング家というのですが――いましてね。今は五十代のメイドの母親と、まだ十代の息子の二人しか残っていませんが、勤勉に働いてくれています」


「では、もしも屋敷が売れたら?」


「新しい主人には、引き続きステビング家の二人を雇ってもらうつもりです。そういう約束のもとに買い手を探していました。それこそ百年以上も我が家に仕えてくれた一家ですからね。路頭に迷わせるわけにはいきませんよ」


「そんな条件付きとなると、客探しに難儀しそうだな……」


「いえいえ! 住み込みの使用人がいること自体はまったく障害になりません。買い手にしてみれば、どこの馬の骨とも知れない人間を新たに雇うよりもずっと安心できますから。むしろ問題は……」


 そこでハロルド氏は口を濁した。


「……問題は?」


「ああ、いや、大したことではありません。えっと、ともかくホームズさんにお願いしたいのは――」


 リョウは眉をひそめた。なめらかな鼻梁に、ささやかな溝が刻まれる。粉飾決算を問い詰めるような口調で言った。


「事前情報が不充分では、きちんとした監査はできないぞ?」


 依頼人はわずかにうつむき、数秒間、じっと考えた。

 そして意を決したように顔を上げると、作り笑いを浮かべた。


「いいえ、本当に大したことではありません。子供だましの童話みたいなものです。私の屋敷の裏手にはちょっとした森があるのですが、そこに〝石榴(ざくろ)の魔女〟が住んでいるという言い伝えがありまして……。その内容があまりにも凄惨なので、嫌がる人もいたんです」


「ふうん。世の中には、そういういわくつきの屋敷にぜひとも住んでみたい……って人もいそうだけど」


 ぼくが漏らすと、リョウは肩をすくめた。


「誰もが君のように強い好奇心を持っているわけじゃないさ」


「オカルト趣味の金持ちが現れてくれたら話が早いのですが、都合よくそんな人と出会えるわけでもありませんからね。もしもワトソンさんが家を買う側の立場になったら、きっとお考えも変わるでしょう。少しでも変ないわくがある物件は避けようとなさるはずですよ」


「そんなに残酷なお話なの? その〝石榴の魔女〟の伝説というのは」


 ハロルド氏は表情を固くした。


「……少なくとも、ここでお話するのをためらう程度には」


 ぼくはさらに突っ込んで訊こうとした。が、先に口を開いたのはリョウだった。


「まあ、私は会計探偵であって、文化史の研究家ではない。魔女伝説よりは、経済的取引について教えてもらうとしようか。……古い言い伝えなど気にせず、あなたの屋敷を欲しがる人間が現れたのだろう?」


 先ほどの失礼千万な態度が嘘のように、リョウの目は好奇心で輝いていた。


「はい――」


 ハロルド氏はうつむく。


「ウィッカムさんという、四十代の医者です。ロンドン郊外で病院を経営していて、難病の特効薬を発明したとかで、その特許で一儲けしたそうです。私の屋敷を、ほとんど即金で買い取ってくれるはずでした」


 ウィッカム氏はサテンのシルクハットを愛用している紳士だったという。年齢を感じさせない黒々とした髪を自慢にしており、豊かな科学知識を持ち、伝説や迷信などまったく信じていない。そういう人物だった。


「だから彼は、魔女伝説なんて一笑に付したんですよ」


 じつを言えば、屋敷に興味を持ったのはウィッカム氏が初めてではなかった。家を探しているという客が現れるたびに、一人ひとりハロルド氏が直接案内したという。


「古い建物ですからね。採光が不充分で、薄暗い場所も少なくありません。加えて、妙な言い伝えまでありましたから、気味悪がって購入を見送る人も珍しくありませんでした。……しかし、ウィッカムさんは違いました」


 科学的合理主義に染まった医師は、暗がりなど少しも怖がらなかった。


「建物を見学している間も、ずっと将来の話ばかりしていましたよ。今の食堂はビリヤード室に改装しようとか、物置部屋を取り壊して、来客用の寝室を増築しようとか……。ステビング家のことも気に入ったようで、ぜひとも屋敷で働き続けてほしいとおっしゃっていました」


 すべてがとんとん拍子に進んだ。


「――で、まあ、最後の売買契約書にサインを入れる前に、一泊だけ屋敷に泊まりたいとおっしゃったんです。断る理由もありませんから、ぜひともごゆっくりお過ごしくださいと言って、私はロンドンに戻りました。私のほうは仕事が残っていて、ホテルに帰らざるをえなかったんです。ちょっと難しい設備投資の案件があって、会社からの電報を待っていました」


 翌日、青ざめた顔のウィッカム氏が現れた。


「開口一番、この契約はなかったことにしてほしいと言われました」


 二人はホテルのロビーで面会したという。

 ウィッカム氏は一晩でげっそりと頬がこけ、顎には無精ひげが浮き上がっていた。身だしなみを整える間もなく、慌てて飛び出してきたのは明らかだった。彼はホテルのボーイに濃い紅茶を淹れさせると、ブランデーをたっぷりと足して飲んだ。カップを握る指先が、ガタガタと震えて止まらなかったという。


「幽霊が出たと言うんです。魔女の犠牲になった乙女の亡霊が」


 ハロルド氏の言葉から、先ほどまでの冗談めかした調子は消えていた。


「最初は何かのジョークだと思いました。だって、ウィッカムさんは医者で、科学者ですよ。幽霊や魔女のような超常的な存在は水素分子一個ぶんも信じていない――」


 そんな紳士が血の気の引いた顔で、幽霊が怖いから屋敷は買えないと言ったのだ。


「バカげた話だとお思いでしょう」


 ハロルド氏は弱々しく肩をすくめた。


「私だってそう思いましたよ。せっかく、あと一息で屋敷が売れるはずだったのに……。ウィッカムさんに対して、ちくりと皮肉を言ってしまったんです。『お買い物がお上手ですね』とか何とか。すると彼は怒りを顕わにしました。『冗談じゃない』と叫んで――」


 ウィッカム氏はシルクハットを脱ぎ捨てた。


「『これを見ても、私が嘘をついていると思うか』とおっしゃいました」


彼の黒髪は、一晩にして白髪だらけになっていたという。


「……繰り返しになりますが、私だって幽霊なんて信じていません。けれど、ウィッカムさんの態度が豹変したのは事実です。そして、屋敷の売買契約がご破算になったことも。あの屋敷に幽霊が出るらしいという話は、あっという間に広まってしまいました」


 ハロルド氏は頭を抱えた。


「ウィッカムさんのほかにも、私の屋敷に興味を示してくださる方は何人かいました。が、どこかで噂を耳にしたのでしょう。みんな、考え直させてほしいと言って去っていきました。まるで潮が引くように、買い手がつかなくなってしまったんです。代わりに近づいてきたのは、インチキな霊能力者ばかり。我こそは除霊ができる、魔女を退治できると胸を張って、何百ポンドも巻き上げようとする連中ばかりです!」


 ようやく、彼がここに来た理由が分かってきた。


「ホームズさん、あなたにはぜひ私の屋敷で一夜を過ごしていただきたい」


「そして幽霊など出なかったと証言してほしい、と?」


 相手は何度も頭を縦に振った。

 ハロルド氏はロンドンのとある紳士クラブで〝ホームズ〟の噂を耳にしたそうだ。この街の金持ち連中から一目置かれている会計探偵がいるらしい。かの人物が「幽霊などいない」と明言すれば、きっと屋敷にまつわる悪評は払拭できるはず――。


「あなたが普段扱っている事件とは、かなり毛色の違う依頼だと分かっています。けれど、どうかお願いです。私に力を貸していただけないでしょうか?」


 リョウはあごに手を当てて考え込んでいる。


「なるほど……」


「悩むことないだろう、ホームズ! 簡単な依頼じゃないか」


 ぼくも背中を押す。


「たしかに、多少は興味をくすぐられる話ではある」


「では、依頼を受けてくださるのですね! 幽霊は出なかった――。そういう噂を紳士の方々に流していただけるのですね!?」


 テーブルの新聞を、リョウはちらりと横目で見た。


「訊いておくが、もしも本当に幽霊が出た場合はどうすればいい?」


「……はい?」


 依頼人は虚を突かれた顔をした。リョウは続ける。


「私とワトソンくんの議論をあなたも聞いていたのだろう? ならば、私が幽霊の存在に関して一定の留保をしていることはご存じのはずだ」


「バカなことを言うのはよしなよ!」


 ぼくは思わず口を挟んでしまう。


「幽霊なんて出るわけないだろ!? しっかりしてくれ!!」


「会計を学んだ者として、私はあらゆる可能性を排除せずに考えているだけだ。ウィッカムさんは白髪になるほどの経験をしたんだ。それを説明するには――」


 脱力したように、ハロルド氏はソファにもたれかかった。


「そんな……。それではホームズさんも幽霊の存在を信じておられるのですか?」


「ふむ、この場合は『信じる』という単語を慎重に定義すべきだね。そもそも科学的な思考がどういうものかといえば――」


 長広舌を振るいそうなリョウを遮って、ぼくは言った。


「分かりました、ぼくもお屋敷にうかがいます」


「むっ!?」


「ワトソンさんも……?」


 ぼくはドンッと自分の胸を叩く。


「ええ、そうです! 幽霊など存在しないと証明してみせますよ!!」


「これは心強い! ぜひともお願いします!!」


 リョウはぐねぐねと身をよじった。


「ま、待ちたまえ。私を抜きに話を進めてもらっては……いいや、ワトソンくんに同行してもらうのはやぶさかではないが……むしろ助手として当然だが……。しかし! しかしだね!! そういう安請け合いは感心しない!!」


 ぼくは意地悪く笑った。


「……もしかして、幽霊が怖いの?」


 リョウは腕を組んでそっぽを向く。


「君こそバカなことを言うのはやめろ。私がこの世で怖いのは計算ミスだけだ」


「だったらいいじゃないか。……大丈夫だよ。科学で説明のつかないことなんて、そう滅多に起きないよ」


 というか、絶対に起きるはずがない。このときのぼくは純粋にそう信じていたのだ。


「この通りです、ホームズさん!」


 ハロルド氏が頭を下げる。

 リョウはまだ何か言いたそうだったが、くちびるを尖らせて「いいだろう」と漏らした。


「そこまで言うなら、あなたのお屋敷にお邪魔することにしよう……」


「ありがとうございます!!」


 彼女の両手を掴んで、ハロルド氏はぶんぶんと振った。リョウがつぶやく。


「……まあ、報酬をたっぷり弾んでもらえるなら文句はない」


 探偵が聞いて呆れる。

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