耽美・JUNEの時代からBLの時代へ。その変遷を辿る。

BLと、耽美・JUNEは似ているけど違うんですよね。
その言葉に出来なかったもどかしさを、この作品集は見事に描き出しています。
まずは、以下の四作品を読んでみて下さい。

2001.03 TEXT JUNE小説の難しさ
2006.01 TEXT 針を呑む
2018.08 TEXT 低い声で喋る
2019.07 TEXT 私はファンタジーが書けない

ここでグッサリ刺さった人。同志ですね(笑)
私なんて、膝を打ちすぎて青あざ出来ちゃいましたよ(盛ってるけど(笑)
洞察が鋭く、的確な言葉を選ばれる作者さんですので、上手いレビューは書けません。
なので、一部抜粋させて頂きます(おい


「2019.07 TEXT 私はファンタジーが書けない」より抜粋。
ここから↓

 ボーイズラブが「耽美」と呼ばれていたころ、竹宮恵子さんや萩尾望都さん、山岸凉子さんなどが男性同士の恋愛を描いた作品を書いていらっしゃいました。
 小説ではそれ以前に森茉莉さん、竹宮氏たちと同じころに栗本薫さんなどが書いていました。
 「耽美」のころの作品は、舞台がギムナジウムや海外であったり、ジャンルが家元物や歴史物であったりしました。特殊な環境で男性(少年)同士の生々しい恋愛が描かれたのです。

 「耽美」を経て「JUNE」が誕生しますが、「JUNE」では、以前のように特殊な環境ではなく、現実の世界での男性同士の恋愛が描かれるようになりました。
 このころから、作品の環境は現実に近づきましたが、男性同士の恋愛には、現実から遊離した「ファンタジー」の要素が入り始めました。
 私は、「JUNE」の時代は、現実とファンタジーが入り交じった過渡期だったと思います。

 「JUNE」から「ボーイズラブ」の時代へ入ると、さらにファンタジーの要素が加速しました。
 「JUNE」の時代にはあった男同士の恋愛の葛藤や重さが消え、現実ではありえないゆえに明るく、ハッピーな男性同士の恋愛が描かれます。「花嫁」「結婚」「出産(オメガバース)」などのプラスの要素もあれば、「モブレ」「監禁」「リョナ」などのマイナスの要素もあります。
 舞台も現実から非現実まで多彩になりました。
 が、それらの共通点は「ファンタジー」であるということです。
 ファンタジーであるから、現実にはありえない甘々な恋愛も、受けが激しく痛めつけられる強姦シーンも書けるのです。

ここまで↑

こうやって系統立ててこのジャンルを見たことはなかったな、と。
そして、耽美やJUNEと呼ばれていた頃と、現代のBLでは、「ファンタジーの度合い」がかなり違うな、とも。
時代の移り変わりもあるのだと思います。
より「女性としての抑圧感」を感じて生きてきた世代が、耽美・JUNEに「救い」を求めるのだと感じますし。

いまBL小説を書かれている方、または興味のある方。
このジャンルの変遷を知りたい方。
そして、「AはA'であるが、A'はAではない」という女性が抱えてきた一種の呪詛を聞きたい方。

必読の作品です。