第五十八話「内紛」
「
「うるさい」
「な、何を言っているんだ。あなたは。ヘリオスに楯突いて、ただで済むはずがない。祖国を滅ぼす気か」
「
「貴様の主は一体誰なのだ。朝鮮の王なのか。それともヘリオスの連中なのか」
そして今度は、
「貴様らもだ。この
「ヒデル。わかっていますね」
姉さんが、ぼくの耳元で
「もちろんだよ。姉さん」
だが結局のところ、
不意に
「
「
冷淡な眼で
「身も心もヘリオスの犬となり下がったか。
「その銃をおろせ。
「言ったでしょう。あなたはヘリオスの代官にすぎない。代わりはいくらでもいるんですよ」冷淡な笑みを浮かべる
だが、すぐに状況は一変した。
「銃を下ろしてください。隊長。あなたのやっていることは、売国に他ならない」
丸っこい眼鏡をかけた優しそうな青年の隊員が、緊張した震え声で
「
「ほゝゝ。仲間割れですか」
銃を下ろした姉さんが、面白そうに見物していた。ぼくとしては偉大なるヒヅル姉さんを空気の如く扱うこの
もっとも姉さんは、自らの駒にしようとしている
「こんなことをしてただで済むと思うなよ。ここでの様子は、俺に仕込まれた小型カメラと盗聴器によってベレスフォード卿に筒抜け」
「死ね、売国奴が」
隙あり、と、
唐突に崩れる均衡。
室内に響き渡る、無数の銃声。
ぼくは隙を見て
が、向こうも素人ではなく、そしてまた
向こうは
事実ぼくも姉さんも真茶も、短機関銃から放たれる無数の銃弾を前にして防戦一方で、ただ柱や壁の陰に身を隠すしかなかった。それは
「ヒヅル様、壁から離れろ」真茶が大声で叫んだ。
ほぼ同時に身の危険を感じた姉さんが、
どごおん。
飛散する
気がつけばぼくたちの背後にあった鉄筋コンクリートの壁が破壊され、跡形もなくなり、その向こうに
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます