再生の小夜曲

春川晴人

橋本塔子

第1話 不思議なモノが見えますか?

 ワタシの名前は橋本塔子と言います。電波塔の近くの、橋の下で拾われたので、そう名づけられました。


 ワタシには、不思議な力……、いわゆる霊感というようなモノがあるみたいで、教室の中で、白いボワボワしたモノが浮いていたり、茶色のかたまりがうずくまっているのが見えたりします。


 霊感というのとは、少し、違うのかもしれません。


 でも、そういった不思議な現象はたびたび起こりました。


 朝からどしゃ降りのある日のことです。ワタシの傘が盗まれました。


 朝からどしゃ降りだというのに、盗んだ人は、どうやって学校まできたのでしょう?


 ともかくその日はずぶ濡れになって、施設長に叱られてしまいました。


 それから数日後、また朝からどしゃ降りの雨が降りました。


 学校の帰りになった時のことです。あの時、盗まれたはずの傘がそこに、きちんとありました。


 ただ、傘の柄の部分からは、黒いボワボワしたモノが見えましたので、ワタシは、薄気味悪く感じて、その傘を見ないようにしていました。


 やがて、傘は片づけられてしまったようです。


 このように、霊とは言えないような、中途半端なモノが見える体質でしたが、このことは、だれにも話したりすることはありませんでした。


 それは、ワタシが捨て子であったこと共に、いじめられることを回避するためでもありました。


 ワタシは、なんとか折り合いをつけて、高校まで卒業することができました。


 つづく

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