第73話 難攻不落のレストラン
~
登場フレンズ:オイナリサマ
対 呼び方 ×○○
変な呼び方をされるも指摘し、改めさせる事に成功。
なんとか勝ち。
対 お供え物 ××
根本的に気安過ぎる。パーティー開けを防げずに負け。
対 思出話 ××
神社が傷む行為はやめて欲しい。
何気に犯行予告。完敗。
コメント:キレてないですよ。オイナリサマキレさせたら大したもんですよ
*
あれは36万……いや、1年半ほど前だったか、森の賢者達は言った。「合わない地方での暮らしは寿命を縮めるのです」と。
しかし、現実はそんなに厳しくない。
住めば都。合う合わないは自分で決めれば良い。
寒さが身に染みるほど、暖かさは心を満たすのだ。
「温泉って最高ですよねぇ……」
「最高だよよよ……」
サヨナキドリもカピバラも雪山で暮らすのが合っているとは言い難いが、見ての通り、彼女達なりに満喫している。
「ふぁー……」
――チャリン。
「あれ?今、何かあったような……」
気の抜けた声とともに足を伸ばすと、左足で何かを蹴ったような感覚があった。
見透かすことができない湯槽の底を足で探ると、ちょうど右足の下に丸く平たい何かが沈んでいるのに気付いた。
そのまま右足の親指で掴んで顔の前まで持ってくる。
金属のようだ。
今唯一身に付けている足環にはこのような形の部品は使われていなかったことから元々ここに沈んでいたものだとわかった。
思考を巡らせるうちに記憶の片隅から硬貨という存在を思い出した。
この硬貨の価値こそわからないものの、これ程の加工を行い、ましてや量産するなど自分には到底できないことだと理解できた。
「それにしても綺麗なコインです……はっ!?そうだ!!」ザバッ!!
光を受けて金色に輝くコインを見つめていると突然何かを思い付いて立ち上がる。
急に立ち上がったせいで無防備な姿を晒しかけたが、湯気によって隠すべきところは隠れていた。
湯気、泡、謎の光、視点の前にある小物――円盤では抹消されるもの四天王の一角が今、猛威を振るったのだ。
*
思い立った日が吉日。舞台は雪山から遊園地に移る。移動時間なんてものは取るに足りない。
サラマンダーより、ずっとはやい!!
「ここならいけるかな……?」
遊園地にある最も新しく、頑丈そうな建物に入るアノン。
重厚感のある外見からは少々想像し難い細い通路の奥に進めば開けた空間がある。
そして、その先には4つの小部屋。
そのうちの1つは倉庫で、多種多様な調度品がしまってあった。
「これとこれをこっちに置いて……」
大きなテーブル1つと小さなテーブルを2つ、椅子を5つ運び出す。
大きなテーブルに対し椅子を3つ、小さなテーブルに対しそれぞれ椅子1つとなるよう水回りの設備がある小部屋寄りに並べていく。
「よいしょっ……!!
ふぅ、これでお客さんが来ても大丈夫。
いっぱい来るようになった時は食材の仕入れ方もなんとかしないと」
そろそろお気付きだろうか、温泉でコインを見つけたことで店を開くという選択肢を閃いたのである。
きっかけがそれだからといって別に代金を請求する気はない。
ここ、ジャパリパークではアルパカの経営するカフェ同様、無償が基本だ。
しかし、問題が発生する場合もある。
料金とカロリーが比例することを考慮するとジャパリパーク全土の食べ物はカロリーゼロと言える。
↓
カロリーゼロならいくら食べても太らない反面、飢えを凌げない。
↓
他者を食らってでも生き延びようとし、体は闘争を求める。
↓
アーマード・コアの新作が発売される。
ここまでくると非常に危険な状況になることは言うまでないだろう。
そこで選んだのがこの建物だ。
ちなみに、この建物は以前お化け屋敷跡だったところを
なお、宣伝しなかったこともあって無駄に威圧感のある建物に近付く者は居らず、初日の来客数はゼロを記録した――
……来客数がゼロなので(以下略)
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます