第133話 大成、再び罰ゲーム(?)でデートする⑨~心臓によくないですよ~
俺と
でも、やっぱり小さな女の子を連れた親子が大半で、それもお母さんと一緒に来ている子が殆どだ。まあ、幼稚園児と思われる男の子を連れたお母さんもそれなりにいたけど。他にも小学生と思われる女の子のグループもあそこの席に見受けられるし、こっちの席には高校生と思われるカップルも見受けられるけど、男が積極的にこの映画を見たいとは思えないから彼女についてきただけ、と感じるのは俺だけだろうか?
俺たちの席はほぼ正面だけど後ろから数えた方が早いくらいの席だ。端の席は見にくいから嫌だし、かと言って前すぎると今度は全体を見るのに疲れる。そう考えるとこの辺りでもいいかなと思われる。俺の右には石狩さんがいるけど、ニコニコ顔でカップを右手に持っているが、どうやらまだ手に付けてないようだ。俺の方はというと既に3分の1くらいは飲んでいる。
「・・・
「ん?何度かありますけど、サッポロファクトリーは初めてですよ」
「というとステラプレイス?」
「うん」
「前回はいつ行った?」
「前回行ったのは小学校の5、6年だったと思う」
「何を見た?」
「えーと、たしか
「へえ。あたしは中学の時にお母さんと『アンナと雪の女王様』に行ったよ」
「あー、俺も誘われたけどパスしたから楓と緑が青葉と三人で行ったよ」
「どうして行かなかった?」
「こう言うと失礼かもしれないけど、中学生にもなって、あの映画を楓たちと一緒に見ろというのは正直勘弁して欲しいですよ」
「ナルホド、たしかに兄様も同じような事を言ってた・・・」
「そういう訳だから今日は久しぶりに映画館に来たよ」
「その久しぶりの映画をあたしと一緒に見れる事をどう思う?」
「そ、それは・・・光栄ですよ」
「駒里くーん、大変嬉しい言葉だけど、全然嬉しそうに見えないぞ」
「はーーーーー・・・(ゴニョゴニョ)なら良かったんだけどなあ」
「すみませんね、幼児向けの映画で!」
「い、いえ!そんな事を言ったつもりではなかったんだけど・・・」
「ま、それは冗談だ」
「勘弁してくださいよお、心臓によくないですよ」
ここで上映が始まるブザーが鳴ったから俺と石狩さんの会話は中断の形になった。
俺は手に持っていたコーラを飲み始めたけど、カップを持っているのは左手で、右手は手すりの上にのせたままにしている。石狩さんはというとカップは右手に持っているが飲んでない。ただ、左手は膝の上に置いている。
でも、俺は気付いているけど、石狩さんは左手を少し動かしてはまた膝に戻すという動作を何度かしているし、膝に戻す度に軽く「はー」とため息をしている。俺は石狩さんが何をしたいのか、何でため息をしているのかに気付いてるけど、それを口に出してはいけないというのも分かっているから無言を貫いているし、顔はスクリーンを向けているけど意識は自分の右手と石狩さんの左手に行ってるというのも分かっている。
女子柔道部最強とまで言われる石狩さんでも、
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「どうしてポップコーンを買わなかったのかなあ・・・美味しいのに」
「あくまで個人的予想だけど、太美クンが体重を気にしてるのではないかなあ」
「ダイエットしてるから?」
「いんや、あの身長であのクラスだと、大会前は相当減量しないと体重オーバーで失格になるから、普段から気を付けてるんだと思う」
「そう言えば柔道は規定体重をオーバーしたら失格だったわねえ」
「それにしても、まさか『小学生でーす』で通るとは・・・」
「心臓ドキドキしてたけどー、アッサリ通ったからねー」
「あのさあ、それって、あたしたちが小学生だと思われたって事じゃあないの?」
「「うっ・・・」」
「
「ま、まあ、料金は高校生も小学生も同じだから犯罪じゃあないわよ」
「そうそう、大丈夫だよー」
「あたしは責任持てないぞ」
「でもさあ、映画館限定カードを貰えるなんて思わなかったよー!」
「なーんか、得した気分だよねー」
「兄貴に見付かったらどうするつもりするんだ?」
「「まあまあ、細かい事は気にしない、気にしない」」
「あたしはどうなっても知らないぞ!」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます