第134話 大成、再び罰ゲーム(?)でデートする⑩~もうお昼ですけど~
俺はプリティ・キュアをテレビで見ていたと言っても4シリーズか5シリーズしか見てないから、スクリーンに出てきたプリティ戦士の半分以上は知らない。まあ、50人以上のプリティ戦士、それに匹敵するくらいの歴代の敵キャラが出てくるのだから後半は騒々しい(?)時間帯が続くから、それなりに面白い時間だった。「あー、こいつは見た事がある」「そういえば、この声を当ててる人は」などと考えながら観てたから退屈な時間ばかりではなかった。
時々隣にいる
ただ・・・石狩さんは最後まで左手を俺の右手の上にのせることはしなかった。
とまあ、上映開始前の長々とした他作品の予告編を含めて100分以上を過ごした俺と石狩さんは映画館から出てきた。さすがに二人とも既にコーラを飲み終わったから出てくる時に紙カップをゴミ箱に入れてきたけどね。
「・・・石狩さーん」
「ん?」
「もうお昼ですけど、昼飯を先にしますか?それとも時計台に行きますか?」
「先にファクトリーで食べよう。この半券があればサービスが受けられる店がいくつかあるだろ?」
「あー、そういえばありますね。ドリンクがタダになるとか割引してくれるとか」
「じゃあ、行こう!」
「そうしましょう」
俺と石狩さんは映画館の入り口ドア付近のところでファクトリーの案内を手に取って、二人であーだこーだ言って店探しを始めた。さすがにランチだからスイーツ系を選ぶ気にはなれないし、かと言って俺は
「・・・石狩さーん、候補はありますかあ?」
「うーん、高校生のベタな店になってもいい?」
「別に俺は構いませんよ。俺はセレブでも何でもないからクレジットカードを持ち歩いている訳ではないし、
「あたしも柔道部の面々とかクラスの子と一緒に行く時はWcDとかマイスドだよー」
「その程度の店にしますかあ?とんかつの店やランチビュッフェはやめておきましょう」
「うーん、でも、ファクトリーにはWcDもマイスドも無い・・・」
「・・・これを見るとケンタウロスはありますねえ」
「ケンタウロス?ああ、ケンチキの事?」
「そう、ケンタウロス・フライドチキン、略してケンチキ。そこにしますか?」
「ゴメン、あたしはケンチキはパス」
「パス?」
「そう、パス」
「まあ、それはそれでいいですけど、あと俺たちレベルで食べる場所と言えばラッテリアやフレッシュバーガー、タルーイカフェ、札幌ラーメンの店がありますよ」
「・・・(うーん、本音を言えばラッテリアの方が半券サービスがお得だけど言い出しにくい。見えを張るならタルーイカフェで少し贅沢なコーヒーを飲みたいけどセットにしても結構な出費を強いられるし)・・・」
やれやれ、これだけ店が多いと逆に迷うなあ。WcDかマイスドがあれば俺もスンナリ選べるけど、それが無いとこれだけ苦労させられるとは・・・あれ?・・・そういえば・・・この店、たしか生徒会室で・・・
「石狩さーん」
「へ?・・・呼んだ?」
「ええ。なーんかブツブツ言ってるようだったから」
「な、何でもないよー。それより、どこにする?」
「WcDもマイスドもないならラッテリアかフレッシュバーガーにしようかと思ってたけど、以前、
「ん?それってどこの店?」
「『宮島屋珈琲』ですよ」
「うーん、そこでもいいかなあ」
「じゃあ、決まりだ」
そう言うと俺はファクトリーの案内を戻し、石狩さんも戻したから映画館を出た。宮島屋珈琲は同じフロンティア館の同じフロア、というより出てすぐ正面にあるから移動にはさしたる時間は掛からない。
俺と石狩並ぶようにして歩いて宮島屋珈琲に向かったけど、俺たちの距離はさきほどまでと変わったとは思えない・・・
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「おーい、動き出したよ」
「お腹が空いたんだけどー」
「文句を言うなよー」
「ファクトリーで食べるのかなあ?」
「時間的に見ても丁度いい頃だしー、案内図を見ながらあーだこーだ言ってたからー、多分この中のどこかで食べると思うよー」
「どこで食べてもいいけど、このままだと見失うぞ」
「「というか、出てすぐの店に入ったよー」」
「はあ?」
「はーーー、ようやく決まったようね」
「お昼をどこで食べるのか決めてなかったのかあ?ホントに行き当たりバッタリのデートかよ!?」
「あらー、別にその場の雰囲気で決めればいいと思いますよ」
「その割に
「どうでもいいけど、追跡よ」
「あいよー」
「っていうか、すぐ正面じゃあないの!」
「全然面白くなーい!」
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