第131話 大成、再び罰ゲーム(?)でデートする⑦~それでこそ男だ、気に入った~
俺は
その返事をしない代わりに石狩さんは「こっちだ」と言って俺の服の袖をグイッと引っ張ってチケット売り場へ行ったのだが・・・そ、その売り場で売っているチケットは・・・
「ちょ、ちょっと石狩さーん、マジでこれを見るんですかあ!?」
俺は相当焦っていたけど、石狩さんも恥ずかしいのか顔が真っ赤だ。
「べ、別にいいだろ!一人で見るのは恥ずかしいから一緒に見ようって言ってるだけだからさあ」
「だからと言って、百歩譲ってネコえもんなら見てもいいですけど、これとホラーだけは絶対にないと思ってたからさあ」
「いいだろ?
「それは認めますけど、俺が見ていたのは小学校の3年生くらいまでですよお。たしか
「あたしは今でも時間がある時は見てる!だから高校生が見ても問題ない!」
「だからと言って、恥ずかしくないんですかあ?」
「全然問題ない!君が知ってるキャラも出てくるから全然問題なーい!」
「だいたい、小学生や幼稚園児を連れた親子連れがいる事はあっても、高校生がデートで見る物だとは思えないですよ」
「高校生のデートだから見るんだ!だから全然問題ない!」
「なんか強引すぎますよ!?」
「強引じゃあない、こういう時だからこそ見るべき映画だ!」
「勘弁して下さいよお」
「頼むよー、な、この通り!」
そう言って石狩さんは右手を自分の顔の前に持ってきて『頼む』をやったけど、顔はニコニコだ。おそらく、今日は罰ゲームだから絶対に俺が断らないと見て強引に引っ張ってきたのだとは思うけど、ホントに勘弁してほしいぞお、ったくー。
「はああああーーーー・・・分かりましたよ、一緒に見ましょう」
「それでこそ男だ、気に入った」
「勘弁してくださいよお、とほほ」
そう、俺がこれから見る映画は『プリティ・キュアオールスターズ』だ。絶対に無いと踏んでいた、幼稚園児や小学校低学年の女の子向け映画だ・・・。俺は相当凹んでいたけど、逆に石狩さんはニコニコだ。
だ・け・ど・・・
「はあ?高校生は駄目なのかあ?」
『すみません、規則なので・・・』
「今日が最終日なんだろ?少しくらいサービスしてくれよお」
『そう仰られても、規則は規則なので・・・』
「こっちは恥を忍んでお願いしてるんですけどお」
『すみません、規則なので・・・』
「はーーーー・・・どうしても駄目ですかあ?」
『どうしても駄目なんです』
そう、石狩さんはある物が欲しくてチケット販売の人に相当ゴリ押ししているのだが、首を縦に振ってもらえないのだ。俺は内心大笑いしてたけど、それを顔に出すのは失礼だと思って一生懸命(?)我慢しているけど、さすがにそろそろ限界が来そうで正直辛いぞ!?それに周りにいる人が「何事だあ?」と言わんばかりの視線でこっちを見てる事に石狩さんは気付いてるのかなあ。
石狩さんがゴリ押ししてもまで欲しかった物とは・・・
「・・・石狩さーん、ここは素直に諦めましょうよー」
「えー、だってさあ、あたしはこれが欲しくてここまで来たんだぞー」
「でもさあ、ここに『小学生以下』って書いてありますよ。無理ですよー」
「だってさあ、今回の作品限定で作られたカードは映画館でしか手に入らない貴重品だから、超がつく程のプレミアものなんだよ。しかも
「石狩さーん、周りが笑ってますからー」
「はーーーー・・・諦めます」
そう、石狩さんが欲しかったのは初代のプリティ戦士であるプリティブラックとプリティホワイトが変身する時に使うカードセットだ。一番最初のプリティ・キュアが放送を始めて20周年になるのを記念して作られて、テレビのCMでも大々的にやってたのは俺でも知ってるけど、まさか石狩さんの本当の目的はこれだったとはなあ・・・
ちょ、ちょっと待て!石狩さんはさっき『羽帯さんはここで貰えた』と言っていた。という事は・・・マジかよ!
でも、考えようによっては従姉妹同士でありながら片や見た目小学生のロリ高校生の鶴沼先輩、片やボン・キュン・ボンの
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「ちょ、ちょっとー、鶴沼さんが貰えたってマジなのー?」
「あいつの事だから小学生のフリをして見に行ったなー」
「たしかアニ研の子が何人か持っていたのは知ってるけど」
「それ以外の連中はネットオークションで取引されてるのを買ったんだろうなあ」
「マニア垂涎の代物って訳ね」
「この年になってこのカードを欲しがる奴がいるとはねえ・・・」
「アニ研はある意味オタクの集団よね」
「高校3年生が貰えるなら私たちでも貰えるわよね?」
「ちょ、ちょっとー、あの先輩だから貰えたんだよー」
「そうだよ、あたしより2つ年上なのに身長はあたしより低いんだぞ!普通に考えたら無理に決まってる!」
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