第91話 大成、審判団を見て、知って驚く
俺は歓声がした方を向いたけど、それが何なのかに気付いた。
先頭を歩いていたのは今日の俺の対戦相手である、
その後ろには女子柔道部の部長・副部長の
しかも南先生は道着を着て黒帯をしている!そのせいかは知らないけど、最初は歓声を上げていた連中の声がどよめきに変わっている。
そのまま5人・・・まあ、言い換えれば『背の高い順』に並んだまま俺の前まで歩いてくると俺の正面に太美さん、右に南先生と筬島先輩、左には浜中先輩と青葉が立ち、まるで円を描くように丸くなった。
「こまさとー!よく逃げずにここまで来たな、それだけは褒めて遣わすぞ」
「石狩さーん、言い回しが古いですよお」
「まあまあ、二人とも今日は正々堂々と試合をしてくださいねー」
「それはそうと南先生、どうして道着を着てるんですかあ?しかも黒帯ってどういう意味?」
「あれー?
「あー、そういえば
「はあ!?」
「そういう事だ。去年まで女子柔道部の顧問をしてた
「しかもさあ、わたしたちと年齢があまり変わらないから練習後は殆ど女子トークの時間になってるのよねー」
「そうだよー」
「なーんか、私の目には女子柔道部が『ほのぼのクラブ』になってるように見えるけどねー」
「浜中先輩!筬島先輩!会長!それは試合とは別の件だから後にしてくれ!!」
「あー、そうだったわね。水を差すようですまなかったわ」
「まあ、それは俺も分かりましたよ。それにしても南先生、黒帯って事は有段者ですよね。それにどうして道着で来たんですか?」
「あー、それはですねえ、どうしてもこの口癖が抜けなくてー、もしかしたら生徒たちに甘く見られるかなあって思ったしー、それにー、今日の試合の審判をやるにあたって周囲の生徒たちからヤジられる可能性があるからあ、審判として、顧問としての威厳を保つ意味で道着で審判する事にしたのよー。こう見えても三段よー」
「三段!」
「まあ、今は現役引退ってコトで汗を流す程度だけどー、それでも本気を出したらまだまだ君たちには負けないつもりよー」
「はー、まあ、それは分かりました」
「それじゃあ試合を始めるけどー、駒里君、今日の副審は浜中さんと
「浜中先輩は分かりますけど、どうして青葉が?」
「あー、それはですねえ、試合の進行と結果に女子柔道部だけでなく生徒会も責任を持つという事になったので、串内さんが副審をやる事になりましたー。筬島さんは時計係と記録係よ。串内さんを含めて三人とも二段だから駒里君も不服はないわよねー」
「わかりました。俺は構いませんよ」
「それじゃあ試合を始めるわよー」
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