中に入れないと気づいて、僕は絶望した
時間がないから。最初は軽い気持ちだった。
電車に乗って、30分もすれば、会社にたどり着ける。
そのぐらいの軽い気持ちだった。
3回まではいつも耐えられる。
だから今日も大丈夫、そう思っていた。
自分の力を過信していたのかもしれない。
もしくは、過ちを犯していたのかもしれない。
1回目はいつも通りだった。
数分もすれば、どこかへ去っていった。
しかし、2回目が来た時に僕は後悔した。
家を出る前に暑いからと麦茶をたくさん飲んだことを。
その後にコーヒーとエナジードリンクを大量に摂取したことを。
そして、自分の力を過信していたことを。
今からでも遅くない、会社までは無理でも、駅まで耐えれば。
駅に着いて、電車を1番に降りた。
誰よりも早く走る僕は駅を吹き抜ける風になった。
しかし、無事にたどり着いた入口に立ち止まる人影を見て、僕は全てを悟った。
ここ以外に、オアシスはもうない。
中に入れないと気づいて、僕は絶望した。
この世の終わりが、見えた気がした。
だからこそ、余裕を持って、トイレに行こう。
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