第62話 ネルの年齢
「そ、それでだな、エリス、マリンの鑑定結果はどうだ」
俺が、赤面しながら聞く。
「まず、マリンの年齢だけど、50歳というところね」
「「「「「ゲッ」」」」
マリンは50歳ということが判明した。マリンは50歳でこの美貌なら、美魔女ということになるかもしれない。
「50歳丁度なのか?」
「ううん、大体それくらいってこと。もう少し上か下かまでは分からないの」
「それで、他の事は何か分かったか?」
「生まれたのは海の中ね。それぐらいしか分からない」
マリンは海の中で生まれ、年齢が50歳ということまでは分かった。
「だけど、マリンは会った時は15歳とか言ってなかったっけ?」
たしか、そう聞いた記憶がある。
「海の中だと太陽の光が届きにくい所があって、私の記憶ではそれぐらいだと思っていたのですが、実は私が思っていた以上に月日の過ぎるのが早かったみたいです」
こいつめ、かなりサバを読みやがったな。
エリスがマリンを鑑定したのを見て、全員が今度はネルを見た。
「え、え、私?」
「ネルも鑑定して貰ってはどうだ?」
俺が聞いてみる。
「う、うん、そうね。やって貰おうかしら。私もどこで生まれ、いくつなのか知りたいし」
ネルの同意を得たので、エリスが再び鑑定を行う。
「まず、ネルの年齢だけど、大体1000歳ってとこね」
「1000歳ってかなりアバウトだな」
「だって、それ以上の精密鑑定は無理だもん。1200歳なのか、1400歳なのか私でもだめなのよ」
「それで、生まれた場所とかは?」
「えっとね、地球上ね」
「「「「「ガクッ」」」」」
ここに居た全員がコケた。
「そんな、あまりにも適当過ぎる」
ネルが言う。
「そうだぞエリス、ネルの言う通りだ」
「だって、それ以上は無理だもん。取り敢えず、地球外生命体ではなかったという事で良しにしない?」
エリスが弁解するが、女神エリスでも無理な事はあるのだろう。
エリスの言葉を聞いて、ここに居る全員がジト目でエリスを見る。
マリンが悪魔族だったという衝撃的事実が、まるで嘘のように雰囲気が変わった。
王宮の盗聴は諜報員に任せて、俺たちはミズホに移動し、食堂で遅い夕食を採る事になった。
「アシュク、強くなったな」
一緒に食堂に来たアシュクに話しかけた。
陸亀ホエールのカメラで見たアシュクはホーゲンと同じくらい強かった。
「ありがとうございます。学院に入ってから、勉強と剣術を鍛えました。少しでも、ホーゲン隊長の役に立ちたいと思ってがんばりました」
「ホーゲン隊には希望したのか?」
「ええ、そこが目標でしたから。でも、ホーゲン隊長のところに配属されたら、僕より強い人たちが沢山居ました。僕は、また自分の世界が狭かった事を思い知らされました。そこから、隊の人たちに鍛えて貰い、やっと今に至ります。
ですが、僕の上はまだホーゲン隊長がいます。世間は広いです」
「二刀流はどうやって修行したんだ」
「隊に入って直ぐです。ホーゲン隊長と練習していたら、コテンパンにやられて、ふと気が付くと両手に剣を持っていました。これがしっくりくるので、それから二刀流をやっています」
「ミスティとミントは何隊に所属しているんだ」
ミスティとミントとも話をする。
「私たちは事務職なの。今は、エルバルト提督の秘書室にいるの」
エルバルトが苦労しているのが、目に浮かぶ。
「お前たち、エルバルトに迷惑をかけていないだろうな」
「えっー、そんな迷惑をかけていなわよ。提督だって、『ミスティとミントはそこに居るだけでいいから』って言ってくれるし」
こいつら、使えてないじゃん。
「その提督の秘書がこんな所に来ていていいのか?」
「だって、提督が、『是非行ってこい』って言ってくれたから」
それは、お払い箱って言うんだ。
エルバルトめ、厄介者をこっちに押し付けたな。
俺の質問が一段落したのを見て、ラピスが発言する。
「お父さま、もう隠居なさっているんですから、あまり前線に出るのはお止め下さい」
「ラピスよ、何を言う。儂はまだまだ現役じゃ。婿殿やお前たちが頑張っているのに大人しく引っ込んでいる程、耄碌しておらんわい」
「ラピスさま、ご隠居さまの言うとおりです。いざとなれば我々もいますから」
ご隠居さまの言葉に反応したのはマシュードだった。
「父さん、父さんは、ご隠居さまに助けられていたじゃないですか?もう少し剣術の腕を上げてくれないと、息子の僕が恥ずかしいです」
アシュクの言葉を聞いて、ご隠居さまが高らかに笑う。
「ハッハッハッ、これはマシュードの負けじゃのう」
まったく、本当に水戸黄門さまになってきたよ。
そのうち、印籠とか作ると言い出さなきゃいいけど。
「あっ、いたいた、ここだ」
声のする方を見るとルルミが居る。その後ろには、ウーリカも来ている。更にはジェコビッチさんまで来た。
「どうしたんだ、みんな?」
「どうしたって、応援に決まっているじゃない」
「陛下が北の国に来られたので、私の仕事も洗車ぐらいしか仕事がありません。何かお役に立てればと思って、こちらにまいりました」
運転手のジェコビッチさんが言うが、こちらで運転する事はないと思う。
「ジェコビッチさん、こっちでは車は使わないぞ」
「いえ、身体が訛っているので、ちょっとした運動も兼ねています」
「おお、そうだよな。我々軍隊上りは何もしないと身体が訛るからな、さすが、ジェコビッチは分かっている。ガハハ」
セルゲイさんが言うが、それは無いと思う。単に物見遊山だろう。
「それから、キバヤシ建設とキバヤシロジテックから人と機材を持って来たので、いろいろとやれますよ」
スノーノースで国造りが始まるらしい。
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