由莉と悪夢、再び

 あれ……?ここは……?



 意識が覚醒すると由莉はよく分からない所にいた。夢だろうとすぐに察しがついた。

 そこには自分と_____



「……うさぎ……さん?」



 今日、自分が殺したうさぎと似ているような気がして、由莉は近づこうとした。しかし_______その距離は縮まることはなかった。えっ、なんで……?と由莉が疑問を持ちはじめた瞬間、ガシャン!と少し後ろから金属音が聞こえた。一気に由莉の顔から血の気が失われた。間違えるわけがない……この音は……バレットのコッキングレバーを引いて離した音……っまさか!?



 振り返るとそこにはバレットを構えている……もう一人の少女がいた。なんで……なんで!?夢の中なのに……なんで……こんなこと……っ!

 ____由莉は今、由莉自身がうさぎを撃ち殺すところを見ようとしているのだ。信じられなかった、そんなことがある訳ない。そう思いたくても今のこの状況を見れば嫌でも信じる他なかった。

 そう思ってる間にも、もう一人の由莉はバレットを調節し、うさぎに照準を合わせていた。



「やめて、私……撃たないで……撃たないでよ……!」



____無駄だと知っていても。この声も届かないことくらい分かっていても。由莉は叫ぶこと以外どうする事も出来なかった。

 そんな気持ちとは裏腹にもう一人由莉が引き金に指をかけた。その表情は……ひどく撃つことを躊躇い涙でくしゃくしゃになっていた。由莉は初めて自分の顔を見たような気がした。そして___



〔ごめんね……ほんとに……っ〕



 2人の間は少し離れていたのに由莉には何故か目の前で言われたくらいはっきりと聞こえた。気のせいだったのか____と思ったその刹那、目の前からマズルフラッシュと共に銃声が轟いた。……それと同時に「ピギャッ!?」とありえないくらい高い音が耳を後ろから貫き、生温い「何か」が由莉に飛び散った。唇を噛み締めながら後ろを振り返ると……そこにはいなかった。あるのは……血とぐっちゃぐちゃになった内容物だけだった。



「あぁ……あぁぁ………」



 由莉はその場で膝から崩れ落ちた。下は血に塗れていたがそんなのも気にしていられないくらいショックで立ていられなかった。___それだけで済めばどれほど良かったのだろうか……



「いやだ……もういやだよ___ひっ……!?」



 涙をボロボロと零しながら俯くように下を向くと……そこには赤い線に繋がっている赤い何かが2つ足の下に転がっていた。それがだと気づくのにそう時間はかからなかった。



「……い、いやああぁぁァァァーーーーーーーーー!!!」



 遂にショックが限界を越えた由莉は狂ったように叫ぶと意識が強制的に遮断され……現実へといった____

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