応援コメント

街に雨は鳴り止まず」への応援コメント

  •  うわー、まさしく言葉の奔流ですね。すごいなあ。

    作者からの返信

    あっ、すみませんコメントありがとうございます。記憶が正しければけっこう前に書いたもので「ああこんなんあったなあ」って感じですが、とりあえず楽しんでいただけたようなのでよかったです。たしか北村太郎の「雨」を読んで衝動的に書いた気が……ということで検索したらそのまま出てきたので引用として載せておきます。http://www.asahi-net.or.jp/~pb5h-ootk/pages/SAKKA/ki/kitamurataro.html

    春はすべての重たい窓に街の影をうつす。
    街に雨はふりやまず、
    われわれの死のやがてくるあたりも煙っている。
    丘のうえの共同墓地。

    墓はわれわれ一人ずつの眼の底まで十字架を焼きつけ、

    われわれの快楽を量りつくそうとする。
    雨が墓地と窓のあいだに、
    ゼラニウムの飾られた小さな街をぼかす。

    車輪のまわる音はしずかな雨のなかに、
    雨はきしる車輪のなかに消える。
    われわれは墓地をながめ、

    死のかすれたよび声を石のしたにもとめる。
    すべてはそこにあり、

    すべての喜びと苦しみはたちまちわれわれをそこに繋ぐ。
    丘のうえの共同墓地。
    煉瓦づくりのパン焼き工場から、
    われわれの屈辱のためにこげ臭い匂いがながれ、
    街をやすらかな幻影でみたす。
  
    幻影はわれわれに何をあたえるのか。
  
    何によって、
  
    何のためにわれわれは管のごとき存在であるのか。
  
    橋のしたのブロンドのながれ、
  
    すべてはながれ、
  
    われわれの腸に死はながれる。
  
    午前十一時。
  
    雨はきしる車輪のなかに、
  
    車輪のまわる音はしずかな雨のなかに消える。
  
    街に雨はふりやまず、
  
    われわれは重たいガラスのうしろにいて、
  
    横たえた手足をうごかす。