東京グレイハッカーズ (完)
作者さま:下村智恵理
キーワード:SNS ハッキング 学校 犯罪
あらすじ
時は西暦2026年。主人公「羽原紅子」は16歳の誕生日に、開発者である父親からSNSのバックドアツールを渡される。試しにクラスメイトたちの裏アカウントを探ってみると、そこには多くの謎と犯罪が隠されていた。違法な手段で悪人と戦うグレーな日々が始まる。
感想
SNSの裏アカウント・ハッキングできる監視カメラなどなど、出てくる題材がリアル。Twitterを元にしてるっぽいオリジナルSNS「WIRE」の仕組み・利用法も丁寧に設定されてて本格的です。
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同級生たちの名前を入力すれば、いともたやすく次から次へと裏アカウントが出てくる。WIREのアカウント登録には姓名と携帯電話番号が必要だが、いずれも公開されない。本人確認書類などは要求しないため、偽名を使っても構わないのだが、悪知恵とネットリテラシーの足りない高校生たちは素直に正副両方で本名を用いていた。WIREの仕様として、アカウントの複数取得は特に制限されていなかった。
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まず、街の中にあるハッキング容易な監視カメラをマッピングすることから始めた。
少し調べると、ネットワーク上から容易に不正アクセス可能な監視カメラを世界中から無差別に収集した、覗き魔御用達のウェブサイトを見つけることができた。そこから地域で絞り込みをかけると、烏丘高校の通学エリア内だけで三〇近い数のカメラがいつでもどこでも、ネットワークに繋がる端末さえあれば、プロテクトなしで覗き見できることが明らかになった。
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実際にマジでありそうなことが色々と出てきて面白いんだけど微妙に笑えない……!
作者さまは確かな知識を持っているのでしょう、IT・メカ周りの描写に説得力があります。次にどんなものが登場するのかワクワクドキドキ。
また、他人の世界をのぞき見できる優越感・見つけてしまった犯罪を止めなければという正義感、ここら辺の心理描写も上手い。
そして主人公たちは天才的なダークーヒーローというわけじゃなく、弱さも限界もある高校生なのが親近感を持てる。
主人公「羽原紅子」は有能だし大人びてるんだけど、しょせんは16歳の女子高生なんですよねぇ。描写に現実味のある、実に良いキャラしてます。
終わり方はかなりビター。さわやかではない灰色の結末と言えそう。しかし、個人的には好きですね。テーマ的にも明るい大勝利は似合わないでしょうし。
全体を通して現実的、だからこその迫力がある作品です。
状態:完結
文字数:155,609文字
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