お米の神様? (完)
筆者さま:南 伽耶子
キーワード:山形県 昭和 食べ物 子供時代 家族史 エッセイ
あらすじ
東北の山形県、その昭和の時代。3世代6人の家族史と、筆者さまが食べた思い出の料理の数々。
感想
おいしそうで珍しい料理がたくさん登場。家族の物語としても引き込まれ、まるで話し声が聞こえてくるかのようです。
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母の実家は大きな豆腐屋だったから、よく豆腐料理が食卓に上った。
春は隣の家の柿の木の下にわさわさ生えるふきのとうを使った、ふきのとう味噌の田楽が頻繁に上った。
栽培ものではないふきの匂いは強く正直苦手だったが、大人たちは春の味だと大事に食べる。
「伽耶ちゃんもちょっこっと食ってみねが? 」
と箸の先ですくってあーんと開いた口に入れてくれたが、その苦さ(ほろ苦くてうまい、という概念はなかった) 匂いの強さに辟易し、しかめた顔を大人たちに笑われながらも二度とこんなものは口にすまいと誓った。
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11人兄弟の末っ子で成績優秀だったのに、高校二年で父が死んで家業が傾いたため、母は大学に進ませてもらえなかった。
上の兄たちを進学させるためにあきらめさせられたらしい。
そんな『女は我慢』を地で行く教育を受けてきた母が、大事にされる美しい姑を身近にしていたのだからかなりの葛藤があったと思う。
だが長い間私には母の苦しみが分からなかった。
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個人的には、お母さま周りの話が泣けてしょうがない……現在では筆者さまと打ち解けていらっしゃるようで何より。こういう家族の中での孤独ってのはじわじわと精神に来ますからねぇ。
父方のおばあさまも、良いキャラしすぎです。めちゃめちゃ存在感ありますよ。
ほんと、すごい筆力。文字を読んでいるだけなのに、匂いや音があるかのごとく感じる。とても良質なエッセイです。
状態:完結
文字数: 101,526文字
個人的高評価ポイント
◎ 高い完成度!
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