伝奇
帝都つくもがたり (完)
作者さま:佐々木匙
キーワード:ホラー 怪談 昭和初期 レトロ
あらすじ
昭和初期の東京。酒浸りで怖がりの小説家「大久保」とネタに貪欲な記者「関」の2人は怪談を集めるため、あちこちを奔走する。真夜中の恐怖ではない、夕暮れ時の怪奇連作短編。
感想
レトロを意識した文体がとても軽妙で完成度が高い。文章そのものに工夫がある作品は好印象ですよね。
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結局、負けた。関は僕の静かな家にずかずかと歩み入る。いつものことではあるが実に業腹だ。
僕は所謂いわゆる三文文士である。彼の言う通り、親の遺産が少しばかりなければ直すぐに食いはぐれる程度の人間だ。
そんな僕は、鳴き出した蝉の声を背に、忌々しく虚空を睨むとぴしゃりと戸を閉じた。
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うーむ、現代人にも分かりやすいながらも確かにレトロな雰囲気を感じる。上手いです。
ホラー系だけど恐さは控えめで、苦手な人でも読めるでしょう。これはタイトルにも表現されていて見事。
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「あれはね、最初『帝都百物語』となる予定だったのですよ。ところが記事を上げたところ編集長がね、『お前の記事には怪談らしい情緒が今ひとつ足りんな。いち引いて九十九と言うのはどうだ』と」
「ほうほう、それで
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つくもがたり……すばらしくセンスのある造語では?
メイン2人は癖が強いものの人間味があり、なんとも親近感がわく。個人的には関さんの怖がりっぷりと、精神的弱さに共感しちゃいますねぇ。
エピソード言えば「第伍話 とおいほんだな」と「第漆話 ほのおのあわい」が印象に残っているでしょうか。
テンポ良く進みながら、1話1話しっかりと味わい深い作品です。
状態:完結
文字数:100,691文字
個人的高評価ポイント
◎ 高い完成度!
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