異世界転生・転移要素あり
異世界取材記 ~ライトノベルができるまで~ (完)
作者さま:田口 仙年堂
キーワード:異世界ファンタジー VRMMO テンプレ ライトノベル 小説家
あらすじ
主人公はライトノベル作家! 取材のためなら異世界を冒険し、ログアウト不可のVRMMOにも飛び込んでいく。
感想
「テンプレweb小説」ライトノベル。小説家になろうで発展したテンプレを新しい視点からネタにした物語。すばらしい発想でめちゃ面白いです。
web小説の内容も実際に取材した結果としてあるのがセンス抜群すぎて笑ってしまう。
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「俺、異世界は苦手なんスよ。取材した事もないし」
「なかったっけ?」
「ええ。あの異世界って、“ノーマル”の異世界ですよね?」
「だな。“ノーマルファンタジー”に分類される世界だ」
「じゃあ俺、まだ未経験です」
「おう、ちょうどいいじゃねーか。取材行ってこいよ」
取材か。
ファンタジー系の異世界は面倒な手続きが多いと聞く。
一昨年もドラゴンに喰われた先輩作家の葬式に顔を出した。あの時は先輩の遺品をめぐって銃撃戦が起きたっけ。別の先輩が言うには、ファンタジー異世界での作家の死亡率と失踪率は特に高いらしい。
続きを待ち望んでいるラノベの続編がいつまでも出なかったり、面白かったラノベが突如打ち切られる原因の半分は、それだ。
去年行った“現実延長系”の異世界はやりやすかったんだけどな。
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この世界の小説家、大変すぎぃ!
そして、テンプレをおもしろおかしくネタにしているだけじゃない。「小説家」小説でもある。作者さまの熱い気持ちがこもっている!
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だから……言ってるだろう。ラノベが書きたいんだよ」
「それは全てを捨てても書きたいものなのか!?」
「そうさ」
キノシタは即答する。
「面白い話を思いついたら書かずにはいられない。可愛いキャラを考えたら妄想せずにはいられない。熱い展開を思いついたら台詞を考えずにはいられない。それがラノベ作家というものだろう」
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「売り上げなんて指標のひとつだ! たとえ売れていなくても、読んだ人の心に強烈な一撃を残すラノベがある! それが先輩の書くラノベだ! 抉ってくるんだよ、僕の心を! 売れないくせに――打ち切られてるくせに――!」
ああ、そういう事か。
原動力だ。
あの人の作品を読んで、彼は思ってしまったんだ。
「僕の方が、先輩より面白いラノベを書けるんだ!」
全てを捨ててでも書きたいと思うほどの創作意欲。
一度火がついたら止まらないんだ。
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う~ん、私もかつては小説を書いていたし、そして今でも設定とプロットだけは次々と思い付たりする、さらには形は違うけどブログという形で自分のアイディアを表現する人間としては心に刺さります。
アイディアを思い付いてしまう、表現したいと思ってしまう。他の人のおもしろい作品を読んだとき、ただの消費者では終われない。
分かります分かります。小説家だけじゃなく創作者なら共感せずにはいられない。
ギャグものとしてもハイレベル。爆笑ポイント多数。それに加えて、「作家としての生き方」という熱いテーマが作品全体を貫いている。
作者さまは新人賞からデビューし、単行本も多く出している本業のライトノベル作家。だからこそ、主人公の言動に強いリアリティが感じられます。
web連載でたまたま1発ホームランを打っただけの一般人ではなく、売れる人気作を目指してプロットを考え続ける「作家」だからこそ書ける雰囲気というか。
ネタがネタゆえに内輪向け、なろうテンプレを理解してないと楽しみにくい作品ではありますが……個人的にはすごく好きな1作。
状態:完結
文字数:219,061文字
個人的高評価ポイント
◇ アイディアが良い!
◎ 高い完成度!
☆ 私の特に好きな作品です!
作品URL
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