86 入院患者は眠らない!? 森緒 源様

 首と肩が限界(いつも言ってる)


 講習で座っているばっかりだから、大丈夫だと思っていたけど、どうにも改善しない。


 みんなはマッサージとか整体に行けばいいよとアドバイスをくれるけれども、絶対に行かない(謎の意地)


 医者の言うことを信じないわけではないけれど、頼る物を増やしたくないといった、謎の意地が顔を出すのだ。


 となると、原因となる事柄を少しでも減らしていくことも対処の一つなわけです。


 仕事でデスクワークが多くなったことで肩と首が凝るのはわかるんだけど、プライベートでそんな肩こりがひどくなることなんて、あったかなあ?







 あ




















 完全にエッセイと小説を家で書いてるせいやん(盲点)


 肩こりと首こりが限界を超えた時、その時がきっと引退時期。





 入院患者は眠らない!? 森緒 源様


 https://kakuyomu.jp/works/1177354054887483994


 喘息発作にて入院となった20代男性の森緒くん。


 命に別状はなくてほっとしたのも束の間。


 同室となった入院患者たちは、


 どいつもこいつも濃いキャラをしたトンデモ患者さんばかりだったのだ。





 病院かあ……毎日行ってたなー(懐古)


 いや仕事でだけども。


 病院ドラマというよりは、病院コメディといった風味が強い作品だった。


「白い巨頭」というより、「ナースのお仕事」みたいな。


 とても綺麗な刺繍画を作れるのに、外出したら酒に溺れてしまう中澤さん。


 イケメンというわけではないけど、美人な彼女がお見舞いにきてやっかみを買う骨折患者の島野さん。


 外出して競馬場に入り浸る糖尿病患者の中尾さん。


 盲腸で入院し、友との別れを嘆く志津川さん。


 自分の生活リズムを他人に押し付けるおじいちゃんの大貫さん。


 この物語の魅力のほとんどはキャラクターにあると思う。


 全員が全員そうというわけじゃないけれど、基本的には前向きに入院生活を送っている気がする。


 病気の事情だけではなく、人生にも事情がある。


 普段なら出会うことのなかった出会いがあり、知らなかった世界が開ける。


 入院生活って、楽しいことの方が少ないはずなんですよ。職員から見てもそりゃそうだし。


 病気だったり障害を抱えて、なんらかの生きづらさを抱えている人が大半だ。


 病気になったことで、今まで順風満帆にいっていた人生が、崩壊してしまったんだと大きく嘆き、わがままをまき散らす人なんてたくさんいた。


 そんな気持ちなんて正直わかるなんて言えないけど、そりゃそうだよなと思う。


 非日常なんだろうし、つまずきのように感じるだろうし、不運な運命だと呪ったりもするんだろう。


 だからこそ、可愛い彼女を連れて来やがってとかやっかんだり、一食のカップラーメンを至高に思う前向きさはいいと思うのだ。


 感情を放出してやりたいように表現する。それがきっと人間らしさのように思う。


 笑顔こそが、一番の特効薬なんだと思う。





 文章としては、読みにくいわけではないけれど少し気になるかなあ。


 粥食から一般食に変えて欲しいとお願いする時に、「直してください」という表現はもっと適切な表現がありそうだ。


 小説の暗黙のルール的なものを「面白ければいいんだよ」とばかりに好きに書いている感じ。


 小説としての枠が歪に感じてしまうところは、ちともったいないかもしれない。


 でもそれはもういいよね。もはや面白ければいいと思う。


 何か入院生活に教訓を得たり、物事の結果としてなんらかの意味のある決着が得られるというタイプの物語ではなかったことは確かだった。


 それはもう、好みの問題なんだ。


 別に教訓を得て、いい話にしなくたっていいのだ。


 それが物語の自由さだと思うし。


 入院をしたことはないけれど、実際に入院されたことがあるようなので、描けた物語。


 それはそれで、とてもいいんだと思いました。






 約497万5千。





 アルコール依存症はなあ、完治というものがないからなあ。


 アルコール依存は意思の病気なんかじゃなくて、脳の病気なんだと先生が言っていた。


 実際にアルコールの影響で、脳は変容する。


 アルコールとシンナーは脳を溶かして、いきすぎれば若くして認知症状を引き起こすのだ。


 で、アルコールを飲みすぎると、吐き気を催したり頭痛を招いたり、あまりにも毎日飲んでいた時に飲まなくなると、小さな虫がはいずりまわっているような症状を見る。


 アルコールで脳の機能を押さえつけていた状態が長期に続いていくと、飲まなくなることでその抑えがなくなる。


 大地震が限界に達したプレートがはじきだされて起きるように、押さえられていた脳の機能もはじきだされて過剰な反応を引き起こす。


 そんな時、みんなこう言うのだ。


「酒を、酒を飲ませてくれ。酒さえ飲めばこんな症状はなくなるんだ」


 で、これが正しいから困る。


 離脱症状を治めるには、酒を飲むか、離脱症状に耐え抜いて酒を抜くかの二択となる。


 たばこが吸えないからって暴れる人はほぼいないと思うけど、酒を飲めなくて暴れる人はかなりの数に上るのだ。いや、飲んで暴れる人もいるけれど。


 アルコール依存所がひどい人なんかは、お酒を飲むフリをするだけで酔っぱらう。


 だってもう、飲む前から脳はお酒を飲んで酔うことが決っているのだから、反射的に酔っぱらう。


 まずはその反射を打ち消していかなければいけないというのが、アルコール専門医のやり方だった。


 まあアルコールに限らずなんですが、精神科は一般化と違って長期入院が多いんですよね。


 折れた骨はくっつけば治ったことがわかるけれど、精神病と言われるものは、いつのタイミングなら治ったのかなんて、わからない。


 だから完治ではなく、寛解という。ざっくり言えば落ち着いた状態。


 やっぱり40年とか入院していると、退院を促してももう聞かないわけ。だって、地域で暮らしている時間よりも、病院で暮らしている時間の方が長いんだから。


 これは物語だからいいと思うけれど、病院って楽しいだけのところじゃいけないと思う。


 それはもちろん、色々な条件がつくのだけど。


 精神科なんか特に、病院が居場所となってしまうと、もう退院ができない。怖くなる。病院生活が日常となってしまう。


 だからこそ、生きる希望が必要なのだ。外に出ることへの展望を持ち続けて欲しい。外で暮らすことの楽しさを感じて欲しい。


 病院はあくまで、治療の現場なのだから。


 もうちょっとだけ関係のない話。


 アルコール依存症の集まりに、アルコホーリクスアノニマス(AA)というものがある。


「匿名のアルコール依存症者たち」という意味で、アメリカで始まったアルコール依存症者たちの自助グループだ。


 自助グループで何をやるかというと、ひたすらミーティングをする。


 テーマはなんだっていいのだけれど、基本的にはアルコールにまつわる自分の体験を語る場だ。


 そこのルールは、言いっぱなし聞きっぱなし。


 感想も言わない、意見も言わない、他のところでもしゃべらない、アドバイスなんてもってのほか。


 ただ自分の体験を淡々と語ることのできる場所。


 自分以外の仲間の人生を、静かに受け止める時間。


 アルコール依存症者は孤独だ。


 意思が弱いからと言われ、離婚や離別に繋がって家族や仕事も失っていく。


 それでもやめられない。脳が欲しているのだから、体はそれに従うしかない。


 みんな本当はダメだと思いながら飲んでいる。その罪悪感は口を閉ざして、ますます誰かに話せなくなる。


 だからこそ、AAが生まれたんだろうと思う。


 自分の悩みを、人生の苦悩を、声に出せない叫びを、ただただ受け止めてくれる。


 他人の話を聞くことによって、自分自身の体験と重ねる。それがきっと振り返りになる。


 そして、誰かががんばっている姿を見ることで、ひとりではなく、一緒にがんばれる。


 だからAAに参加しだして飲まなくなった人も一杯いる。


 AAの12のステップの中に、こんな言葉がある。


 1.私たちはアルコールに対し無力であり、思い通りに生きていけなくなったことを認めた。


 アルコールに対して、自分は無力でちっぽけな存在だと。


 脳を、行動を、人生を脅かす脅威に対し、自分自身はもうどうしようもなく無力でまな板の上の鯉であるようなことを受け入れる。


 そこから、回復が始まる。


 精神科では特に、リカバリーという概念を大切にする。


 回復という意味なんだけれど、それはただ単に病気からの回復という意味ではない。


 病気や障害で失った時間、友人関係、夢、人生における楽しさや意義を再び抱き、自分自身の人生を取り戻していくということが、リカバリーなのだ。


 あの頃失ったものは戻ってはこないけれど、自分の人生はいつからだって取り戻すことはできる。


 というのはさすがに上手い話しすぎるような気はするけれど、なんらかの夢や楽しさを自分自身で見つけ出し、掴んで離さないでいれば、それはきっと幸せなんだろうと思う。

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