20④-⑩:終わりの始まり
翌日は、昨日の晴天が嘘のような、吹雪となった。
昼間だというのに、外は真っ暗だった。ガタガタと絶え間なく、部屋の窓ガラスを風が揺する。食事以外に部屋から出る用事も気もなく、セシルはベッドで、レスターと毛布をかぶってくっついていた。
「…そろそろまきを足さなきゃ」
「俺が足すよ」
レスターが毛布から出て、震えながら暖炉にまきを一本くべた時だった。ちりんと、セシルの耳元でピアスが音を立てる。セシルは、また今日も反応がないという知らせだと思いつつ、「もしもし?」と応答した。次の瞬間、
『…セシル!あいつが来た!』
リアンの叫び声が、きいんと耳に響いた。
「お前、声のボリューム下げろ…」
『それどころじゃないって。あいつが来たんだよ!今、空にいる!』
「分かった…。レスター、大変だ。あいつが来たって!」
「ついに来たか…」
セシルは、ベッドから飛び降りると、レスターの腕を引き、窓に向かって駆けた。
そして、バアンと窓を開いた途端、吹雪がものすごい勢いで、部屋の中に吹き込んできた。
「…」
セシルは窓枠から身を乗り出し、風と雪の中、目を凝らしながら空を見る。すると、降り注ぐ雪の合間に、青白い光が鈍色の空を背にして輝いていた。
その光は、銀髪の女―アメリアの顔をした女が放っていた。
「人間の恐怖の顔を見たいだとか、回りくどいのはもうやめだ…」
女は、血走った目で下界を見下ろすと、叫んだ。
「こんな忌まわしい世界、さっさと消してやる!!!」
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