『老人Z』 ゲーミングベッドの原点にして頂点

 介護問題を解決する画期的ロボットが、暴走する話。


 主人公が介護ボランティアを行っていた老人が、「最新型介護ベッド」のモニターに任命される。

 TVやゲームなどあらゆる娯楽を兼ね備え、寝ながら食事・着替え・排泄できるというすぐれものだ。

 令和の世代で話題の「ゲーミングベッド」よりも進化しているじゃないか。


 後日、主人公に老人からSOSが届いた。

 老人を救うため、主人公は真夜中の病室に忍び込む。

 だが、厚生省の役員に発見された。

 

 お咎めなしだが、老人とは会えなくなってしまう。


 それでも見過ごせず、主人公はハッカーである入院患者の手を借りて老人に呼びかける。


 そこで、奇跡が起きた。


 介護ベッドが機材を取り込んで自走を始めたのだ。


 本作は、いわゆるシンギュラリティものだ。


 ロボットが主人公によって自我を持ち、老人と旅に出る。

「鎌倉へ海を見に行く」という、俗な動機なのも面白い。


 この当時から、「介護によって、若者の自由が奪われる」との話題を取り上げているのが面白い。


『BLOOD THE LAST VAMPIRE』の北久保弘之がメガホンを取っている。

 原作・脚本・メカニックデザイン・題字が大友克洋、キャラクター原案は江口寿史だ。

 スタッフロールには、今敏や、TV版攻殻機動隊の神山健治の名もある。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る