『真夜中の弥次さん喜多さん』 アーサー王(中村勘三郎)

 女房殺害の容疑を掛けられたホモの弥次さんが、恋人である喜多さんのヤク中を直すためにお伊勢さんを目指すロードムービー。


 だが、一癖も二癖もある関所を通らなければならない。


 さっそく、喜多さんは第一関門でヤク中と認定、関所通過を拒否されるが、同じヤク中で捕まった芸人との勝負に勝って、関所を抜ける。


 クドカンの映画はクセが強く、どう表現していいのか。


 一八代目 中村勘三郎 (当時:五代目 中村 勘九郎)にアーサー王させる監督は、クドカンくらいだろう。



 基本はコント形式で進む。

 が、妻殺しの容疑という重いドラマを背負わせている。


 喜多さんにも幼い頃のトラウマから逃げるため、ヤクに溺れたという設定があり、二つのドラマがぶつかり合う。


 旅先の茶屋で知り合った娘に喜多さんが惚れる。

 しかし、彼女の思い人が弥次だったことで、最大の試練が待つ。


 終始ふざけている分、ドラマパートが丁寧で熱い。

 この温度差を楽しむ映画と言える。


 やばい。二回見たのに内容を説明できない!

 二〇代の頃に見て、すげえと思った。

 で、四〇代になってもういちど見てみたが、やはりすごさは色褪せていない。


 C級映画としては、だが。


 でも、これだけぶっ飛んだ映画を作れる日本の監督って数えるほどしかいない。


 超大作や、人間ドラマばかり見てきてたまに味を変えたいときにはオススメ。

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