第75話 決勝 vsドイツ
病院での結果はアスリートとしては断念してくれと言われた。通常に歩行には手術をすれば、それほどの影響がでないだろうという回答だった。予想はついていたので、わかったとだけ答えた。
矢口から電話があった。ベンチ外と言われていたが、皆で監督を説得したそうだ。出なくても良いから、ベンチに入れて上げようという事になった。
ドイツは決勝に来るだけあって基礎がきちんと出来ているチームだ。隙と言うものが無い。鳴海チルドレンにも隙はないが、難しい相手だった。勝負を決めるのは御子神だろうと思った。御子神と矢口のコンビネーションで崩せないなら点がとるのが難しかった。
そう思った矢先の事だった。貴田がドリブルをして上がりだすとサイドの鯉口に素早く展開した。受けた鯉口が前へ突破するとマイナスのクロスを上げ、それを山田が決めて先制点を取った。
荻堂が相手選手を追い掛け回すと、そのパスを根本がインターセプトして直ぐに前の御子神へと出す。御子神と矢口のワンツーで抜け出した御子神が簡単に相手のネットを揺らす。最後はこれでもかと御子神が4人抜きを見せてゴールをしていた。
3-0での完勝だった。
昨日までの自分を思えばなんと自惚れていたのだろうか? 愕然としてしまう他はない。
「高橋見たか俺の得点を」自慢気に御子神が話している。
「僕がいなくても鳴海チルドレンは強いからな……」
「馬鹿だな高橋は。俺は昨日のドリブルだって感謝してるんだぜ。俺がやってたら怪我してたよ」
年下に慰められるのも悲しいものだ
「高橋は俺の兄弟子だからな、これからもよろしく頼むぜ」
御子神に連れられて表彰式に出た。全員に金メダルが渡ると集合写真を取った。紙吹雪が吹き荒れる中、俺は金メダルを握りしめ新たな決断をするのであった。
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