第56話 プレッシャーとの戦い
俺達は負けを気にしながら、合宿地へ戻ってきた。
さて、プロのモチベーターである監督の出番である。
「俺達は1敗したが、1/3消化したに過ぎない。気にしなくていい残り2つ勝てばいいだけだ」
マスコミのデータでは初戦を負けると75%敗退みたいな嘘が出ている
これは全くの嘘でもないが、強いチームは初戦が勝ちやすいし、精神的に余裕を持ちやすい。2戦目がドローを狙って戦いやすいに過ぎない33.3%が正しい数字だ
「まず、何で今日負けたかを考えよう。キャプテンの意見は」
こういう時にキャプテンは何て便利なんだろうと俺は思う
「プレッシャーから自滅しました」
「皆、他に意見はあるか」
「相手のFWが有名だからリスペクトし過ぎました」
「そうだな、では、今日の試合に負けると今度の試合に負けるのか」
「いえ、それは……」
「まったく関係ない。試合は試合で初戦に勝とうが負けようが次の試合では意味をなさない」
おれはグループの成績は意識から弾き飛ばそうと思った。
「今度の試合にまず勝て、後はそれから考える。余計な事は考えるな」
「はい」
「サッカーという競技は負ける事もあるから面白いんだ。だからわざわざリーグ戦なんてのをやっているんだ。強ければ勝つ確率が上がるそれだけだ」
腕を組みながら偉そうに俺は続けて喋った
「昔に俺の知人が上司にギャーギャー言われて仕事を辞める気になったそうだ。」
一息入れながらゆっくりとした口調で続けた
「どうせ辞めるんだから好きな事して辞めてやると思っていきなり社長に企画書を出したり、現場行って無茶いってみたり、やりたい放題したんだと言ってた」
「そしたら、凄い業績を上げてしまって嫌な上司より昇進しましたとさ。いい話だろ」
なんじゃそりゃって顔を全員がしている
「つまり捨て身で開き直って次の試合は好き勝手暴れてこいってことだ」
「スタメンは適当に弄るけど、自分が好きなプレーを楽しむように以上で解散だ」
みんなが解散する中で源だけが、ここに残った
深刻そうな表情で俺に話し出した
「監督ちょっとお話が、ここでは何なので」
「じゃ、俺の部屋で」
二人でキャンプ地の俺の部屋に言った
俺は笑いながら言ってみた
「まさか、クーデターか? 」
「違いますよ。違いますって」
キャプテンは手をブンブン振って答えた
「仲人になって欲しいとかは嫁に聞かんといけないから分らんぞ」
「あんまりふざけないで下さい」
「すまん。あんまりにも真剣だったんでな。でどういった話なんだ」
「実は俺は今大会で引退を考えてます」
「あれ、結構オファーはあったよな」
俺は不思議そうに相手を見つめる
「オファーは在りますが、指導者の道を考えていて監督のクラブが人手が足りないと聞きました」
キャプテンは頭を下げながら言った
「お願いします俺を弟子にして下さい」
「源なら別にいいけど、うちのクラブ大変だぞ」
「何を言ってるんですか監督! 鳴海監督の弟子だと、ちょっとしかやってない高橋にすら海外からオファーが来るって言ってましたよ」
そんな事になってたのか。俺はその話初めて聞いたし、知らなかったよ
「ライセンスは何処まで取ってある? 」
「C級までです」
「じゃクラブは大丈夫そうだな。引退は何処でする此処か? 」
「戻ると煩そうなので、ここがいいです。監督も一緒だと助かります」
インタビュー大嫌いなんだがしょうがないコレも仕事だ
「わかった知り合いの矢内アナウンサーへ連絡しておくよ。後はその事打ち合わせしてみて」
分かりましたそう言って出て行った源を見送りながら、何をして貰うか悩んでいた
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