第2章 飛翔編
第24話 悲劇の高橋事件
暫く、流れ移り行く世の中で、日常と呼べるものが戻ってきた。
代表監督を辞めた俺は学校に戻ってきたのだ。
オリンピックでの事を少し話そう。
あの事件は"悲劇の高橋事件"とも"オリンピック鳴海事件"とも呼ばれる。海外からも同情の声が非常に高くFIFAもやっと重い腰を上げた。俺は相手監督をぶん殴ってしまったので、1年間は公式の試合に出れない。相手の監督については選手に指示したかの是非で、まだ決着が着いていない。せっかくの金メダルが何とも言えない様になっていた。
世界中のネットと報道の過熱は異常ともいえる内容だった。連日のマスコミ対応に俺も高橋もうんざりしていた。
高橋に怪我をさせた選手はシーズンがオフになると、俺達に謝罪をしたいと申し入れて来た。高橋は笑って言った。
「謝罪を受け入れる」と……
この選手は、金銭を受け取って欲しいと願い出てきた。すると高橋は要らないと断った。実は高橋は選手保険なるものに入っていてそれで治療費なるものは全部カバーされた。更にFIFA、JFA、IOC、世界規模のチャリティ等々莫大な財産を得ていた。特にチャリティが凄まじいの一言である。高給取りの選手がこぞって支払ってくれた。
高橋は今、俺のスタッフとして働いているJFAの資格関係や、教育者としての免許などをリハビリして頑張っていた。
当時の事を振り返ると俺は真っ赤になって、恥ずかしいから止めろと言っている
半年かけてリハビリをして諦めかけていた高橋を俺はコーチとして誘った。
「俺もやったことあるからな、自分で出来ないなら人にやらせればいい、俺の夢は海外の一流クラブでプレーする事だったが、出来ないから人にかなえて貰った」
はぁーと白い息を吐きながら真白な校庭をみる
「代表監督なんか中学の監督に比べたらつまんねーよ。代表は選手を選ぶ事しかできない。でも中学校で落ちこぼれそうな奴をピカピカの原石に仕上げると最高なんだ」
俺は真赤な顔で高橋に手を出した
「俺に付いて来い」
「はい、師匠」
笑顔で笑う高橋は満足そうだった。
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