第251話 時間が経てばミラクル
俺ね、ずっとアテナイを更新しないといけないと思いながら、書いてなかった。それどころじゃなかった。痛みは断続的に続いていたが、ここ一週間は止まっていた。一応、医者の見立ては「ストレスからくる胃炎」ということに収まっていた。継続的に、一応チェックはするように言われた。
今、もう11月なんだよ。実は前回までのお話は、夏の話だからさ、もうこんなに時間が経っちゃってるわけ。何してたかって、ただもがいてたね。特に進歩もできないのに、忙しくもあったし、Bはなんと、つい二週間ほど前に転職を決めたんだよ。公務員辞めちゃうんだよ。信じられないね。Bは、部署転換を申し出ておいて、実は会社自体が、半官半民ではなくなることを知り、さっさと見切りをつけたってわけ。B、思い切りがいいね。俺は、嘘だろ、と思った。でかいプロジェクトに参加できるのとか、喜んでたくせに。Bはこういうところがある。身の振り方というか、ダメだという時に、見切るのが早い。
Jさんとはしばらく会ってない。Jさんも忙しいのと、体調が悪いのと、遠方にいる息子さんのところにいつも奥さんと行っていて会えない。Jさんマジで、医者と縁が切れない。密かに俺は心配していたが、俺がJさんと連絡を密にすると、Bの機嫌が悪くなる。Bは案外、くだらない嫉妬をする。本職のJさんには逆立ちしてもクールさが叶わないから、Bは最初からそうだった。自分よりカッコいい人はまるで自分が「くすむ」かとでも思うのか、よくわかんねーが、Bの周りは、Bよりもカッコいいやつはいない。同じくらい。
俺は、もう俺もダメかもな、とかなり実は鬱だった。物理的に痛いのと、金と、実家の問題と両隣の問題と。馬鹿かもしんねーが、俺、ミラクルが起きてくださいと、他力本願に「奇跡が一時間後に起こる音楽」なんていうのを本気で聞いたりしていた。ネットで簡単に見つけたやつね。
マジで頭わりーんじゃねーの俺、って思ってたんだけど、実は奇跡は起こった。
一応ね、これ小説なんだけど、いやほんと嘘みたいな奇跡だよ。
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