第157話 どうなるの俺ら?
隣のムッシューが同時期に紙を持ってきた。
俺らはその紙を見て、凍りついた。なんと隣が、37戸の4階建アパートを計画している、というのだった。
知らなかったが、隣は広大な敷地だったらしい。
俺らは以前に「ちょっとだけ、2メーターでいいので分けてくれませんか?」と頼み、断られていた。
そんなちょっとの間口、分けられません、と。
そりゃあ、37戸建設予定だったら無理だろう。俺らは青くなった。
家にぴったり隣のアパートが密着する。
なぜなら、この家の東側は、隣の家の塀なのだ。
ギチギチに1センチの隙間もなく、隣のヘイがうちの家となっている。ああ〜
もう一巻の終わりだ。小さな穴のボーリング工事でも、うちの家は、揺れに揺れ、何事かと飛び出したくらいだ。
それは冬のことで、俺は慌てて写真を撮り、隣人に送り、この工事はなんですか? 土地が売れたのですか? と、聞いてみたが返事はなかった。
返事できないんだろう、敵となる人間に。
そうしてすぐにムッシューがその計画書を持ってきた。
これにサインしないか? と。隣人一同の反対書。もちろんそんなもの、効力はないが、建設に反対せねば、うちの屋敷は完全に朝、全く光のない日陰になってしまう。
しかも工事で地盤沈下するかも。
俺もBも、言葉にならないダメージを受けた。
これからどうなるんだろう。もしかして、ここから出ていかないとダメな状況になるんじゃないか……
工事の騒音、粉塵に耐えられるだろうか。引っ越した方がいいだろうか?
そうこうしていると手紙が届いた。
ムッシューからだ。
「庭に洗濯物を干すなと警告したのにもかかわらず、まだ干すのならば、景観が醜いから、2メートル50センチの塀を立てさせてもらいます」
俺が室内干しじゃ、到底乾きそうにないどでかいマットレスを干すはめになったのも、実は理由があるのだが、その手紙を最後にムッシューをぴたっと見かけない、おまけに雨戸は閉まったまま。
一日に最低二回は車で外出するようなムッシューだが、いつも必ず暗くなるまでに戻り、バカンスどころか、一泊旅行さえ、行かない人だ。心配になった俺が、5日ほどして恐る恐る見に行くと、屋敷の玄関の金属の格子戸越しに犬がキャンキャン吠えている。
まじかよ、中で人が死んでるとかじゃないだろうな?やめてくれよ……
俺は、誰かいませんか〜と、まぬけな声で繰り返し叫び続けた。犬は繋がれてはいないらしい。まさか、殺人鬼が潜んでるとか?
俺はわざと人畜無害で馬鹿っぽく呼びかけた。潜んでるやつが出て来る時、「殺人とは無関係」を装いやすいように。
真っ暗な中、犬は大丈夫なのか?まさかムッシュー、ベッドで老衰で死んでるとかじゃないだろうな。
ちょ、こっち来い、レオ!
俺は叫んだが、あの犬は本当に意地悪な犬で、どんなに一緒にいても、俺になつきなどしない。
お前、大丈夫なのか?
レオはきゃんきゃん啼くばかりで、仕方なく俺が行こうとしたら、やっと格子戸越しにきたから、少なくとも、繋がれたままではないのがわかったのだった。
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