第128話 看護服のうさぎちゃん?!


 話も最後になり、さあじゃお開きにしますか、次どうするの?という話になった。ジョーと俺はこれから日本イベントへ行く、と言ったら、ジョーは今から、もう一人来る、と言った。


 ふーん。


 ジョーはいつもそうだ。途切れなく人と会う。


 で、すぐにやってきた真っ白の看護服の女。うさぎみたいじゃねーか!


 俺は先にその、真っ白なナース服見たいな洋服だけ見て、誰これ!?と思ったが、ジョーはデザイナー、と言った。


 名前は2度聞き返すような名前。変な英語名つけて気にならないのか?


 中国人は適当な英語の名前を自分でつけて、それをいつも使う。でもそれにしても、俺ならそんな名前、絶対に選ばないぞ。


 掃除する人? ワケわかんねーな。なんでそんな名前つけた?



 髪は長い茶髪。目も大きい。白い指が綺麗で、素敵な細いゴールドのファッション系リングが2、3個はまっていた。今、ものすごく流行っているアクセサリー。長い間似たようなテイストで席巻されている。14kかもしれないが、ダイヤやルビー。華奢だから、20代しか似合わないが、現実はどの世代でも今のアクセサリートレンドは同じような華奢なテイストだ。


 彼女、とてもフレッシュで良いのに、残念なことに、顔が微妙にでかい。


 俺、変なとこチェック入れちゃう癖がある。無意識を全部書いちゃうと、俺、トンでもないこと、いつも考えてるな。怖い。


 指や手はうっかり舐めてしまいそうなぐらい完璧に綺麗なんだが。


気がついたら握ってしまいそうなくらい、完璧な指だ。真っ白だ。


 いや本当に美しい。で、まあ、顔も、じっと見ていると、可愛らしいじゃないか。悪いとこなどない。ちょっとサイズが96パーセントに縮小くらいか。サイズ調整できたら本当はまるっきり問題ないのにな。体とのバランスで、ほんの少し小さければ。そうしたら完璧に近くなるのに。


 ファインダー越しだと、気にならない可能性もある。わかんないけど。顎がちょっと気になるな。これでも髪型でカバーしているのか。髪型を変えればもっと綺麗になる。髪のカットがおざなりだ。こっちの美容師は、俺でもできるんじゃ、というような適当なカットをする美容師がいるから。


 洋服や全体の雰囲気はいいのに、残念なことだ。


 ごめん、顔が大きいとそればかり気になるから、俺は、自然に彼女と横並びに歩いた。俺、不便な目を持ってるな。


 店を出て日本イベントの会場に向かう間ずっと、俺は彼女の横にいて、どこに住んでるの?どれくらいここにいるの?と基本だけ聞いた。後は、向こうの質問に答えるみたいに喋って、その間ずっと、彼女の革のバッグばかり見てた。


バレンシアガ?


うーん、本物か?


 真っ白の皮なんだが、模しているのは紙袋。四角い。これは本物の可能性がある。大いに本物に900バーツ。でも聞きそびれた。さすがデザイナー。おしゃれだ。どこで買ったんだろう?


 彼女がジョーのところに行ってから、俺と旅行王子は何かを話すでもなく、並んで歩いたが、ちょっと気まずかった。女が入ると気まずいよね。なぜかな。


 俺らはどことなくしらけて、歩いてた。ま、よくあることだ。

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