マブタノキミ 4

「アサヌマさん、今日はパジャマパーティーですね!」


帰り支度をしていた私に、キジマが大声で声をかけてきた。


「お前は明日も仕事だろうが。来なくていい。また二日酔…。」


サカガミの視線を感じて私は口をつぐんだ。

ただでさえ私たち二人は良く思われていないのに、酒を飲ませたことなどバレたら面倒だ。


「別に構いませんよ。パーキーパットも明日休んでも。」


サカガミが書類から目を離さずに言う。

私は耳を疑った。


「へ?マジですか?」


キジマが驚いてサカガミに聞き返すと、サカガミは眉間に皺を寄せたまま迷惑そうに続ける。


「壊し屋さんがいない時に君一人いてもねえ。あなた方と組みたがる人もいないですし。」


キジマはサカガミの嫌味を気にも止めずに、お泊まりセットがどうとか言いながら出て行ってしまった。


余計なことを…。

私はサカガミを睨んだが、奴はこちらを見ようともしない。


「サカガミ、幽霊って信じるか?」


私がふと思い立って聞くと、サカガミは今日初めて私の顔を見る。


「壊し屋さんでも冗談を言うんですね。残念ですが面白くないです。」


サカガミは真顔で言うと、また書類に目を落とした。


***


「ヒラヤマさんって、 アサヌマさんの上司ならドーリィやってたんですか。」


ヒラヤマさんの家に向かう車内でキジマが聞いてくる。


「いや。まだあの人がいた頃は対策課はなかったんだよ。

私が警察になって間もない頃にドリーム戦争が起きて、初めて警察がマシーンを使用することになったんだ。

あの時、ヒラヤマさんは指揮は取っていたがマシーンは使用していない。

退職されたのは、ドリーム戦争で問題を起こした部下の尻拭いもあるしな。」


私は、なるべく平静を装いながら答える。

問題を起こした部下というのが私だということは昔からいる署内の人間なら誰でも知っているし、周りの私に対する態度や噂でキジマも察しはついているだろう。


キジマは何か考えているようだったが、それ以上何も聞いてこなかった。

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