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「どうだっていいでしょッ! 返して――返しなさいよッ!!」
「おっと残念届かねぇなあ」
「客が見本見てるだけなのに返せはないでしょ店員さーん。人には自由に批判する権利があるんだよ?」
「それに好きに反応する権利がコッチにもあるのだわよ!! 返せっつってんでしょブサ
「使ってみろよ
「違法じゃないのだわッ! 許可出てるから出店してんでしょうがアタマイカれてんじゃないの!? いいから返せよ! 消えろよッ!!」
「あッッと手が滑って見本が俺の足の――――下にィっ!!」
『!!!』
くたびれたマンガの
その少年の足元から、マンガが意志を持ったかのようにスルリと飛び出し――――彼らの背後、こめかみに青筋をたてて両目を切り開く、茶髪の少年の手に収まった。
売り子の少女――シータがわずかに怒気を下げる。
「あ……あんた、」
「何やってるんだ? お前達」
「おォ? 落ち目の風紀が、こんなときもマジメに点数稼ぎか?」
「風紀さん今なんて言ったぁ? 聞こえなかったなぁ、もう一回言って?」
「もういい、見るに
「オマエタチヲコウソクスル!」
「早口過ぎて聞こえねーよ。つか俺ら見本冷やかしてただけなんだけど。当然の権利なんだけど。お前らほど悪どいことしてねーぞ、お? その辺どう考えてんだテメェらは」
「ひえー不当に拘束されるゥー、
「ッ!」
テインツの手から見本誌が弾き飛ばされる。
それを目で追った一瞬を突き、もう一人の男がテインツの顔面を思い切り殴りつけた。
「ハハッ入ったァ!
「軽いな」
「――あ?」
「どこかの
「うおっ!?」
バキン、と音がして――――テインツを殴った少年の両手が、後ろ
「っ!?」
思わず一歩下がるもう一人。
その一瞬の間で、彼の前からテインツは
「やッ……べァ゛!?!」
察した少年が背後に拳を向けるが、時すでに遅し。
「――……」
ものの数秒の、出来事だった。
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