4
寝ぼけ
「だからゼヒ、ナタリーの力を借りたいの」
「ですから、その件に関しては何も思いつかないと――」
「思いついたの」
「――なんと?」
「思いついたのッ! あいつらをバーンと、ドドーンとやっつけて捕まえちゃう方法!!」
「…………一応聞きましょうか」
ナタリーは眠気を帯びているようにも見える目でマリスタの
そしてあっさりと話し終えたマリスタに対し、もう一度その
「なるほど、それが実現出来たらそりゃ
「そ――それは今から詰めて!!」
「昼過ぎからは劇もあるのに? 学祭終了の夕方までのとても短い時間で? それだけ大それた計画を無事に実行できるというのですか?」
「もちろんッッ!!!」
「っ――――」
たじろぎ、奥歯を噛みしめたマリスタを想像していたナタリーは、少しの間も置かずそう言ってのけたマリスタに、自分が気圧されることとなった。
ずれかけたニット帽を整えながら、片眉をひそめる。
「ま……マリスタ、冷静に考えてくださいよ? 具体案も詳しく決まっていない、人的資本も物的資本もあてがあるわけではない。そんな状態で事は起こせません」
「じゃあ聞かせて。ナタリーはどう動くの? 私はどう動いたらいいと思う?」
「ですからそれは――」
「そうだよね、何もないんだよね。だからコレでいくの。出来ることが少しでも目の前にあるなら、私はそれに賭けたいの。あ……これはね、別にナタリーを責めてるんじゃないんだよ? 私は、」
「わ、解ってますよそんなこと
「じゃあお願い、協力してッ!! 一言『うん』と言ってッ! そうしさえすれば、物事は前に進み始めるからッ!」
「わ――分かった、分かりましたっ。それで、私にどうすればいいというんです」
「仲間を集めよう、手分けして」
「誰もかれもが私のように無条件で賛成するわけではないんですよ、マリスタっ。こんな大それた計画を、私は一体どのように
「そこから変えよう!」
「へ?」
「『大それた計画』っていう、その呼び方! そんな風に呼んだら集まる人も集まらなくなっちゃうよ。そうだな、この計画は……」
「や――まあ一理あるっちゃありますがねマリスタ」
「『
「……………………………………はい???」
「このやり方がうまくいけば、誰も血を流さずに襲撃者たちを――ううん、リシディアとアルクスの戦争を止めることが出来るっ。でも、その為にはみんなの――本当に
「…………」
――思い込んだら真っ直ぐ。
それは、マリスタ・アルテアスの悪い点だと、ナタリーは常々思ってきた。
アルテアス家の次期当主
マリスタ自身はそう思って日々を生きてきたと思っているようだが――ナタリーに見える現実としては、少し違う。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます