12
「はい。フェイリー・レットラッシュ、クリクター・オースの二名も、
「失礼します!」
両開きのドアが乱暴に開かれ、中で話していた二人――ガイツ・バルトビアとオーウェン・アルテアスの会話が途切れる。
ペトラ・ボルテールは一礼し、差し迫った目でオーウェンを見た。
「――急ぎご報告したいことが」
「何だ。話せボルテール」
「は――――マリスタ・アルテアスを中心とした中等部六年生と教職員の集団が第二層の一角を
「! マリスタが……?」
「何を馬鹿な、一日足らずでそんなことが――学校長?」
「この目で確認したい。一緒に来いボルテール、バルトビア」
「はっ!」
「は――」
オーウェンはガイツとペトラを引き連れ、
『!!』
「!」「来たぞ、学長だ!」「アルクス兵士長も一緒だぞ!」
オーウェンは
全身から発せられる威圧感に群衆は自然と道を開き――――彼とガイツ、ペトラは、
大貴族父子の目が再度、交差する。
「…………」
「…………」
――
オーウェンと向き合う目は、最早ひとつでは無かった。
視界に映る無数の目。
その全てが、意志と非難の光を灯し、オーウェンの
「少し見せてくれるか」
「あ……」
ガイツが手近な参加者の持っていた、一枚の紙を奪う。
平易な言葉と、印象に残るキャッチコピー。
この集会の意義とアルクス・学校長の不義を実に簡潔にまとめた、よくできたビラだった。
「こんなものまで、その日のうちに……!」
毒づくようにぺトラ。
オーウェンは肩越しにその様子を
〝小さなたくさんの流れが大きな流れを作るんだって思うから!〟
〝お前は『流れ』そのものであるその他大勢とは違う。『流れ』の伝う道筋を示し整える、力と権利を生まれながらにして与えられた選ばれし存在なんだ〟
「……これだけの流れを、お前の力で導いたか」
「……いいえ。私の意見と同意見の人が、これだけたくさん居たというだけです。
「――――」
「……こんな集会を開くための場所など、事務が貸し出すはずが無い。無許可での敷地の利用は禁じられている。
「ふざけんなッ!」
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