10
――力無く
また倒れそうになった彼女にエリダが駆け寄り、非難がましい目でギリートを
ギリートは
「事実から目を逸らしたって仕方ないって。こうしてる間にも僕らどんどん立場を失くしてってるんだよ、『仕事が遅い無能集団』って思われてね」
「あんたはそれでいいと思ってんの? イグニトリオっ」
「別に何とも。ただ――こりゃ
「――ナタリー?」
ギリートの言葉に、マリスタを含む
ナタリーはその視線を避けるようにして、ピンクのニット帽を
ギリートが目を細めて
「だろうね。アルテアスさんの望みとあらば、言われなくても
どこか満足そうにさえ聞こえる声音で言うギリートに、しかし反論する者は誰も居なかった。
襲撃者の正体を
「……もう仕方ないんじゃない? 別に劇なんて、やろうと思えばほとぼりが冷めてから部屋借りてできないワケじゃないし。アマセ君も潔白なら、学祭終わって早々に開放してもらえるだろうし――――アルテアスさんもこの調子だしさ」
「――わ……私?」
「だってその様子じゃ、思いついてもいないだろ? 学長代理に――――お父さんに
「――――」
マリスタの目がゆっくりと見開かれる。しかし、その驚きもすぐに絶望へ飲まれて消えた。
見ていたナタリーが苦しそうに視線を
再び、場を重苦しい
「……何で話せないの?」
「ん?」
長い栗色の髪を背中でまとめた少女が、誰にでもなく問いかける。
それに反応したのはギリートだ。
「おかしいじゃない。同じプレジアの生徒なのに、私達魔術師コースの生徒には教えられないなんて。何を言われたの? 義勇兵コースの生徒じゃないとダメなくらい重要な――危険な情報だったんじゃないの?」
「……オー鋭いねえ。その通りだから教えられないなあ、危険で」
「だから、その危険って何なの! おかしいよ、知らないと備えようがないじゃない!」
「あーやめてやめて、僕に聞かないでくれるかな。実は僕も、納得できるほどよく知ってるワケじゃ無いんだよね。全部を知ってるのは――――そう、アマセ君に近しい人たちだけなんじゃない? ねえ、アルテアスさん」
「――――え」
「マリスタ、体調が
「ちょっと待てよ」
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