第43話 消化不良
1
心臓を無理やり
自然見開かれる目。
総毛立つ体。
久しく感じなかった――感じることは無いはずだった感覚。
その感覚の
(――嘘でしょ?)
間違えようも無いその力の気配を
(この二十年。一度だって
体の動きに倍するように早まる鼓動を、胸に。
◆ ◆
もう何発目ともしれないゲンコツを食らい、ココウェルはまたも尻もちをついた。
「あいだだだだッ……おまえェっ、コブになってるとこ
「はいまたヒドい悪口!!」
「ぴぎぃいいいぃいぃっっ?! ひぃ、ィ…………血、血ィでるぅぅっ……!!!」
「出てないわよこんなゲンコツくらいでっ! 当たりどころ悪かったら出るかもしんないけど」
「じゃ出るんじゃねーかよそのうちにっ!!
「まーたそういう怖いことっ!」
「わぎゃんんんンんんっっ?!!?……くっそお前クソ、クソクソクソクソクソっ!!! 貧乳のクセにわたしが持ってるもの何一つ持ってねぇくせにっ!!」
「くっ……いい加減その減らず口減らせっての……!」
じんじんと痛む頭を押さえながら涙目でマリスタを
どんな姿も絵になると内心で感心しながら、マリスタは未だに彼女が年上であるという認識を持てないでいた。
「減らず口はお前の方だろうがっ!! 誰殴ってんだって散々――」
「ダマらっしゃいクソガキ!」
「くっ……そがき!?!?!」
「クソガキじゃないのよ! 初等部のころ居たからアンタみたいな口先ばっかでてんで弱い奴!! クソガキよクソガキ!」
「ガキ呼ばわりすんじゃねえぇぇぇぇえ貧乳赤髪プレジア兵士低ランクローブ貧乳低身長ブスキモクソ
「そうやって思いつく悪口を
「にゃぎぃぃいいいぃぃ?!?」
前頭を
食い縛られた歯の間から荒い呼吸を
目に毒なその光景につい向いてしまう視線を、マリスタは務めて打ち切った。
「……はぁ。ほんと、あんたが王様じゃなくてよかった!」
「……ぁ?」
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