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『ルールは簡単! この長方形の空間で愛をもって戦い、胸と手の甲の
「――スタートした瞬間、この気持ち悪い赤マークとその
「……それがいいだろう」
――何がどうなってこうなったのか、もうハッキリと思い出せない。
思い出せるだけの余力が残っていない、と言った方が正しいか。
だが今はどうでもいい。今はただただ、
『――――レッツ・ラヴ!! ラヴジュエリーファイトッ、スタートですッ!!!』
この意味不明な状況から、抜け出したいとしか思えなかった。
◆ ◆
『恋に恋した同好会』は何を隠そう、プレジア創設から間もなく作られた、割に長い歴史を持つ同好会である。
現在こそ他人の
その活動が(ギリートによる偏見でもって、ではあるが)認められ、今回のイベントが開かれている
「……なになに、優勝者には…………あっ」
「何見てんだ? ケイミー」
「! ア、アトロ……どして、ここに」
「や、その……探してたんだ。お前を。この時間には仕事、終わるって言ってたろ?」
「あ……そっか」
「これって、パンフレットにもやたらデカデカと書いてあったイベントだよな? なになに、優勝者には…………おお」
そう
少し緊張しているのが、隣から見上げたケイミーには分かった。
〝好きな人、いるので〟
(……今かもしれない。
「ねえ、アトロ」
「ん……ん?」
「出てみない、これ。一緒に」
「…………え、」
遠くを見つめ、耳を染めながらつぶやく少女に。
少年は息を飲んで、「うん」とだけ答えた。
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