3



 マリスタが目を見開く。

 ロハザーはごく平静へいせいに、ただ画面を見つめていた。



「……ううん。後悔してない。ああしてなきゃ、もしかしたら……先生たちも遅れてたかもしれないし」

「そういうこった。だから、誰に何言われようが構うこたねーんだ。気にしねーで堂々としてろよ」

「…………あんがと」

「うっせ。ケツがカユくなるからやめ……」



「あ、あれってハイエイト君だよね」「昨日アルテアスさんとメチャメチャ戦ってた人じゃん!」「へえ、一緒にいるんだねぇ……」「知らないの? ハイエイト君も、アルテアスさんと同じで、演習室の障壁しょうへきこわそうとしたらしいよ~」「えっ……まあ、ハイエイト君は同じ風紀委員ふうきいいんだもんね」「でもあの二人、試合中はすっごく中悪そうな感じだったけど」「アレじゃない? ホラ、昨日の敵は今日の友、みたいな……」「へぇー!? なにそれ、なんかイイ感じ~」「闘いが終わってさぁ、二人はお互いを認め合ったのよきっと!」「イイネイイネ! そんでさ、そこから二人はだんだんと親密な関係になっていって、そしてついに」



「だ~~~~~~~!!!!!ッッッまっっってろ野次馬やじうまがッッ!! 試合見る気ねーなら帰りやがれッッ!!!」

『きゃあああぁっっ?!?!』

「あんたが一番気にしてんじゃないのよ……もうホラ、ほれ。落ち着け。どうどう」

「っったくよ……下らねぇことをグチグチと……下らねぇことを!」

(二回言った)



 けもののようにがなり立てて女生徒じょせいとを追い払ったロハザーに、マリスタはあきれ顔で応じ、



「おい、オイ。昨日の今日でさわぎ立てんなまーた小競こぜり合いに火がついちまうじゃねーかっ」

 


 その声を聞き付けたファレンガス・ケネディに、二人してたしなめられた。



「お。ケネディ先生じゃないすか」

「『じゃねぇすか』じゃねぇんだよバカたれこの野郎。昨日あんだけしぼられてまだんねぇのか、ここで何か起きたらオメーにも手伝ってもらうからな風紀委員クン、なぁ??」

「酒入った先生のグチ聞き倒してただけでしょ

「シャーーーーーーッッッラップ!!! あの愚痴も今回の件に関係あることだろうが、指導の一環なんだよバカ! だまっとけ!」

「先生が話しかけたんでしょ……」

(楽しそう……じゃなくて。気になったのは、)



 マリスタが辺りを見回す。

 そして――なんとなく、確信が持てた。



「大丈夫だと思いますよ、ケネディ先生」

「あ?」



 ファレンガスがロハザーの首根っこをつかんだまま、ポカンと言う。

 マリスタは再度、うながすように周りを見た。



「みんな、今日は……映像だけを見てる。ううん、第二ブロックだけを見てる。だから、今日はここでは何の争いも」

「そうだな。だからそこは心配してねぇ」

「?」

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